バッと思わず反射で起き上がる。背中にじっとり汗が滲んでいる。 頭のなかで今でも鮮明に残っている夢の映像を流す。 ぼんっと顔が真っ赤に染まって、 『っう、わあああああああっ!!!!!』 深夜にスイマセン、特にお隣の月子先輩。 数10秒後に慌てた様子の琥太郎先生や直獅先生が思いっきり扉を叩いたのはいうまでもない。 『………』 「なまえ顔が怖いぬーん…!!」 「テスト期間はいっつもこんな感じだろ」 宇宙科(というか1年の)首席と次席の二人組はテストは余裕そうで、むかつく。 (首席にいたってはどうしてまたあんたがと驚くような人だ) ま、それだけじゃなさそうだけどと梓がにやりと意地悪く笑った。え、イヤな予感しかしない。 「昨日の奇声も関係あるんじゃない?」 『は…!?射手座寮まで聞こえてたの…!?』 「ぬ?なんだそれー」 どうやら翼は聞こえなかったらしい。 くっそ、なんでこんな面倒くさい方に聞こえてるんだよ…! 『…もうやだ、テストやだ、梓なんか爆発しろ』 「なまえがね。 そんなこと言ってるとテスト勉強みないからな」 『すいませんでしたごめんなさい梓様』 うわあ…、という目で梓が見てくるがプライドなんて今さらないわ。 「あっ梓くん見つけた!」 「あ…月子先輩、どうしました?」 「宮地くんが探してたよ?あと翼くんは生徒会だよ!」 翼がぬあああ!忘れてたのだ!と慌てて出しっぱのノートやら筆箱を鞄に詰めて走り出した。 出るときに図書委員の人に図書館は走らない!と注意されていた。 「あの、でも#name#の勉強…」 「ああそれなら大丈夫!ちゃんと呼んでるから!」 呼んでる?呼んでるってなんだ。いや誰をだ。 そうですか、と梓も翼と同じように荷物を鞄のなかに詰めて月子先輩と一緒にどこかへ行ってしまった。 去り際に月子先輩が振り返って一言。 「勉強、頑張ってね!」 意味深に笑ってウィンクを一つ私にプレゼントして梓ごとどこかへ行ってしまった。(すっごいキュンってしたけど) 「お待たせ。月子が急に電話してきたから少し遅くなった」 ごめんな、と眉を下げて笑うのを見て私は口をあんぐりさせてシャーペン手から落としてしまった。 シャーペンはころころとノートの上を転がっている。 『と、づきせんぱ…い?』 「うん、どうした?そんな幽霊に会ったみたいな顔して…」 意味深なウィンクはこれか!つっこ先輩め! 普通に普通に普通に!!!! 頭のなかで念仏のように唱える。 「なまえちゃんの家庭教師してほしいって頼まれたんだけど」 それでもやっぱダメだ。 奇声の原因。夢に東月先輩が出てきたからだろう。 『…その…っべつに、大丈夫です、よ…?』 こんな返事、可愛くない。 なんで素直にお願いしますとか言えないの。全然大丈夫じゃないのに。 ぎゅっと拳を握り俯いていると、 「…なあなあ、」 東月先輩から声をかけられる。仕方なしに顔をあげるとにっこり笑顔の東月先輩。 あれ、梓みたいだ。イヤな予感しかしないんだけどどうしよう、この笑顔。寝れないじゃないか。 「ここ」 そう言いながら練習問題の解き終わった問題の答えを長くて綺麗な指でトントンと叩く。 「間違ってるぞ」 『っ、い、今から直そうとしてました、!』 ああホント、………可愛くない私。 無愛想で可愛くない、私。 明日もこれからも無愛想で可愛くない私。 こんなんだからいけないんだろう。 きっと月子先輩みたいに可愛くて素直で優しい人が好きなんだろう。 いや誰が。なんか私こんなの思ってるなんて誰か好きみたい。 ………好き!? そんなの、そんなのあり得ない…! 自分でも驚愕の結果に着地していて気付かなかった。 「なまえちゃん?おーい?」 『っ!、』 目の前に東月先輩の顔があった。 『な、なにして…っ』 「んー?なまえちゃんの顔が真っ赤だったからどうしたのかなって」 にっこり。 まさにそんな擬音が聞こえそうな笑顔で、そう言った。 『ま、まま真っ赤になんかなってないですっ』 「あ、更に真っ赤になってるぞー」 『なっ!、』 おかしいおかしい。 なんでこんな東月先輩のペースに巻き込まれてるのやだやだ。 『と、東月先輩なんかきら』 「うーん…そう言われるとちょっと悲しいなあ…」 嫌い、と言う前に遮られた。 目の前には眉をさげて所謂苦笑いの東月先輩。 「俺は好きだよ」 『………は、』 なあなあ返事聞かせて、とか笑顔で問うてくる。 なあなあじゃない、その笑顔もやめて。 心臓ばくばくして眠れなくなる。睡眠不足は女の子の敵なのに。 東月先輩の顔が見れなくなってうつむいて答えた。 『っ…嫌い、じゃないです』 メランコリック ◎星唱さまに提出 メランコリック大好きですが 世界観ぶち壊しスイマセエエエエンンンン!!!!(スライディング土下座) 愛情だけはがっつり詰まってますキリッ(`・ω・´)← 企画に参加させて頂きありがとうございました! 2011.08.08 望 ←→ |