short | ナノ
『一樹先輩!』
「お、なまえ。…結果どうだった?」

白い紙をくしゃっと握りしめながら俺に駆け寄ってきたなまえ。
結果どう?だなんて聞いたけれど、その顔で分かってしまう。

『合格しましたっ!』
「おめでとう」

くしゃりと笑った笑顔が可愛くて、誰にも見せたくなくて腕のなかに閉じ込めた。

今日は大学の試験の合格発表の日。
なまえは可愛いことに俺と一緒の大学を選んでくれた。
もちろんその理由にはなりたいものがあるから、というものも含まれているわけだが。

どうやらなまえは大学内で抱き締められているのが恥ずかしいらしい。
胸を押すという地味な抵抗にでたが
そんなので離してなんかやるもんか。

俺の思いが伝わったのかなまえはそろそろと俺の背中に腕を回した。

「合格祝い、なにが良いんだ?」
『い、要らないですよ…。
ていうかっ、私先輩に勉強見てもらったからそのお礼…っ』
「別にそんなの気にしなくて良いんだぞ」

でも、だとかだって、をもごもご繰り返す口を塞いでやろうかと考えたその時だった。

「おっ、良いところに不知火ーっ!お前合コンいかね…え、誰!?」
「…ちっ」

空気を読め。
俺の名前を呼んだのは大学に入って仲良くなった奴だった。

「俺は行かないからな」
「えっえっ!?なにそれ不知火の彼女!?つか可愛くね!?」

その言葉にそいつの周りに居た女子が騒ぐ。

「えっ不知火くんカノジョ居たんだー!ショックー」
「あんた狙ってたもんねー」

…正直、彼女たちは苦手だ。
香水臭いし、化粧濃いし、あのテンションが嫌いだ。
もうちょっと慎ましくできないのかと思う。
(言ってることが若干宮地っぽいな…)

眉間に皺を寄せないように頑張っていると
ぎゅっ、と背中にあったなまえの手が俺の服を握る力が強まった。

「…」

ああやべえな、可愛すぎんだろおい。

「俺、不知火の友達の「生憎、俺はこいつしか見えないんで。
それに今からデートだ。悪いな」
「え、ちょ…おい!?」

なまえを腕から解放し、手を掴んで周りを囲んでいた塊から逃げた。


だいぶ離れたところから、ゆっくり歩き出した。

「なあ、なまえ」
『う、あ…っはい』
「やっぱ、合格祝い貰ってくれないか」

でも、とまだ遠慮しているなまえの口を人差し指で制した。

「…指輪。
俺とお前の此処に嵌めたらああいうの、少しは減ると思うんだよ」

とんとんっ、となまえの左手の薬指を軽く叩いた。

『へ…』
「そしたらお前も嫉妬しなくて良いと思うが?」
『っ…!』

嫉妬していたのがバレたのが恥ずかしかったのか
なまえの顔が一気に耳まで赤に染まった。
ああもう可愛すぎ、だ。

『か、一樹先輩…っ』
「だから、な?
今から買いに行こうぜ」


まあ指輪をはめてほしいのはさ、
独占欲と虫除けがわりに
(ペアリング…嫌か?)(い、いやじゃないです…(その顔弱いのに…っ!))


◎歩さんリクエスト
不知火と甘々でした^^

不知火大学生 主人公受験生設定でした
楽しかったです^^出来はどうあれ

やっぱぬいぬいと年下彼女の組み合わせが好きだと気づいたキリッ(`・ω・´)

歩さんリクエストありがとうございましたー!(*´∀`*)


2011.07.11 望