◎"お前の話"の続編 俺の雰囲気に怯えるなまえの後ろに回り抱きしめた。 ああ、布団が邪魔。 べりっ、となまえが包まっていた布団を剥ぎ取った。 そして改めて抱きつき、今度は俺の体温で温める。 『す、錫也…』 「ほんと、…一人でこんな時間に来るなんて、やめてくれ…」 『ご、めんなさい』 「…お前に何かあったら、俺…っ」 想像しただけでも心臓が止まりそうだ。 抱きしめる腕に力をこめた。 『だって、…錫也にしか、相談出来なくて…直接会って話したかったから』 「それでも!…来ちゃった、で来れる距離なら俺が会いに行くから…」 そう言うとなまえは改めて俺にごめんなさい、と謝った。 『…そういえばさっき月子がね、なまえちゃんは私だけじゃなくて自分の事も考えなさい!って怒られちゃった』 「だろうなあ…」 『…私は気にしないし、なまえが知っててくれればそれでいいって』 「うん、」 『それでもやっぱり…、最低なことした』 俺の腕に顔を埋める。眼前の肩は少しだけ震えていて。 「…あのな、誰だって自分が一番大切なんだよ、」 『…でも、』 「お前は、確かに自分が一番大好きなんだろうけどその後ちゃんと後悔して泣いてるだろ。 ああどうしよう。まあいっか、で終わる奴じゃないのは俺や月子や哉太も知ってる。 俺達が…俺が好きななまえはそんな子だよ」 『っ、』 もういい加減答えてくれてもいいんと思うんだ、と耳元で囁いた。 俺が初めてなまえに気持ちを伝えたのが中学の卒業式。 もういつもの様に会えなくなるなあと思ったら口からするりと言葉が出ていた。 好きだよ、と。俺はなまえが一番好きだよ、と。 なまえはちょっと待っててください、と保留されてもうすぐ一年だ。 こっちはお前が俺以外の奴に手ぇ出されてないかヒヤヒヤしてるんだから。 『っ、えっと』 「逃がさないよ。…俺はお前と一年も離れてやっぱり好きだって実感したんだから。そっちはどうなの?」 『…錫也、ズルイ』 「ズルくない。一年も引き延ばしたのはお前だ。一年も待ったんだこっちは、いい加減我慢の限界だ」 『…っ分かってるくせに!』 そうだよ、分かってる。お前の反応を見れば分かる。まったく分かりやすいんだから。 でも、 「俺は、お前の口から聞きたいの。それぐらい許されるだろ?」 『錫也のっ、意地悪!』 「うん。で?」 笑顔でそうかわすとなまえは悔しそうに、頬を真っ赤に染めて。 『…錫也が好き!』 「うん。よく出来ました」 ご褒美にキスを一つ落す。なまえは更に頬を赤く染めた。ああもう可愛いなあ。 「俺と付き合ってください」 『………馬鹿で月子みたいに可愛くないけどお願い、します』 「充分可愛いくて自覚がないから困るよ」 可愛くない、と言い返そうとした唇を自分のそれで塞いだ。 来ちゃった。嘘、会いたかった (今度から俺が会いに行(…やだ)(…なんで?)(…皆にとられちゃうから、やだ)(…ホントお前は…可愛いなあ) 錫也先輩は可愛い連発させるのが好きである ←→ |