short | ナノ
『哉太ー』

哉太の部屋に上がり込んで30分。
哉太はベッドで週刊誌を読んでいて、

暇をもて余していた私は、

『パソコンに入ってる写真見て良い?』

そう訊くと、哉太はおーと投げやりに返事をした。

どうやら漫画を読むのに忙しいらしい。

きっとこんな場面を見たら錫也と羊と月子は呆れるに違いない。
しかしながらこれが二人の形なのだから仕方ない。

私は机のうえのパソコンを起動させて、写真を画面に引っ張り出した。

相変わらず哉太は上手いなあ。

うわ、この月子超可愛い。焼いてもらいたい。
あ、これお花見んときじゃん。
錫也の作ったの美味しかったな…、またあのときのゼリー作ってくれないかな。
羊のアホ毛が毎回変わってることに突っ込むべきだろうか…。


思い出とともにボタンを押して写真をくるくる変える。

一通り見終えて戻るを押すと、写真のほかにフォルダが、一つ

…なんか、やらしー写真とか入ってないだろうな…。


興味半分好奇心半分で、その謎のフォルダをクリックした。



『………哉太、』
「おー」
『盗撮は犯罪だよ?』

そう言うと

「おー…って、はあっ!?」

謎のフォルダには、

花見中に欠伸している私。
天体観測で、星を見ている私。
昼休みとかで爆睡してる私。
お菓子を貰って頬張ってる私。


私、私、私。


「っ、おまっ!!」
『なに、哉太って盗撮が趣味だったの』

違ぇよバカ!!と哉太は起き上がり、こっちに来てパソコンを切った。

「あーくそ、ロックかけんの忘れてた…」

右手で赤く染まった頬を隠す。

『ね、さっきの写真全消去したい』
「…いやだ」
『なるほど、哉太くんは訴えられたい、と』
「…訴えられたくねぇけど消したくない、」

だいたいなんでそんなに消したいんだよ、と問われた。

『だってせっかく撮ってくれるんだったらちゃんと可愛く写りたいもん』

あなたの目に映るときは、
いつでも可愛くいたいの
(っ…お前、可愛いな)(頬、染めながら言われたってねえ…)


◎ハッピーバースデー哉太!!