文化祭当日。朝から錫也が大忙し。 俺は俺で心臓が大忙し。 「哉太?何回携帯見てるの?」 「う、うっせーよ!ほっとけ!」 月子が俺の横からにょっと携帯を覗き込んだ。 俺は慌てて携帯を隠す。 「もー…なまえちゃんが来るから楽しみなのは知ってるけどちゃんと仕事してよね!」 「分かって[ぴろりーん]っ!」 慌てて携帯の通話ボタンを押した。 「も、もしもし」 『もしもし、かなー?』 「おう、来たか?」 『ん、校門のとこまで来たよ』 「じゃあ俺迎えに行くから動くなよ!」 分かった、と聞こえたので俺は電話を切った。 「てわけで月子、俺行ってくっから!」 「なまえちゃんに何かしたら怒るからね!」 という忠告を月子から貰った。 何かしたらって…何をしろっていうんだ俺に。 校門でなまえと合流し、天文科の教室に向かう。 「月子、メイド服着てるぞ」 『え、ほんと?わーきっと似合うんだろうなー』 写真撮らなきゃと、意気込んでいる。 「どっか行きたい所とかあるか?どうせ天文科の教室行ったらあの2人がお前を放すわけねーし先に行っとこーぜ」 『えー…かなと一緒ならどこでもいいよ』 「、」 え、なにこいつ。期待させといて落すとかマジなしだかんな。 「あー…、まあ、あの、あれだ」 『かな、壊れたロボットみたいになってるよ』 「う、うるせえな!」 「あれ、哉太じゃない」 後ろから声がかかった。振り返ると羊が居た。そういやこいつも同じ休憩時間だった。 「この子だれ?」 『あ、初めまして。みょうじなまえです。もしかして羊くん?』 「…どうして名前を知っているの?」 かなに教えてもらったの、と言うとあっと羊が思い出したように叫んだ。 「もしかしてこの子が哉太の好きなk「うわあああああ!!!!」っ…うるさい、少し黙りなよ哉太」 「それはこっちの台詞だ羊てめえええ!」 おいおい、いきなりバレるとかいろんな意味で終わったぞ!! 「ふーん…まあ確かに可愛いね。まあ一番可愛いのは月子だけど」 『月子、可愛いよね』 「うん」 なんでそんなポイントで意気投合しちゃってるんだよ、お前ら…! 「ほらもう行くぞ!じゃあな羊!」 『え、でも』 「ふふっ、哉太バレバレ」 「うるせー!ほら行こうぜ!」 なまえの手を引っ張り羊に背中を向けて歩き出した。 絶対あいつ後ろで笑ってやがる! あーあーあーあー! 『かな、』 「あぁ!?」 『え、ごめん』 「あ、悪ぃ…なんだよ?」 『かなの好きな子って私?』 さらーっと俺に聞く。俺は思わず固まった。 え、 『あ、違ったらごめんね』 「や、違うっていうか!…違わないけど、」 『ほんと?嬉しいな』 「え、マジ?」 『だって私かな好きだもん』 「っ」 こいつはホントになんなんだ。 『かな、顔真っ赤だよ』 お前のせいだ!! (う、っせえ!)(え、ごめん)(あ、やあの、なんだ、うん)(ふふっワケ分かんない) ◎もはや何かが行方不明過ぎる件について ←→ |