『った、…』 会長補佐という名のもと(それを副会長といんじゃ…?という疑問は会長の独裁政治に消えるのです) 生徒会室で書類整理を行っていたら、ぴっと紙の刃が指の上を走った。 そしてその線から広がる赤。 どうやら地味に切ったらしい。 「なまえ、どうしました!?」 颯斗が私に駆けて来る。 彼氏だからって、過保護だなあ。 『指切っただけだよ。大丈夫』 「だけじゃありあません。保健室行きますよ」 『うええ…!?良いよー。舐めときゃ治るって、こんなの』 そう言うと颯斗は顔を曇らせた。 そして大仰にため息をついた。 「…貴女は、他人が傷付く事を恐れるくせに、自分の傷には無関心過ぎなんです」 『そうかなあ…』 ぱくっ、と自分の指を口にした。 すると口に広がる鉄の味。うえ、まずい。 「そうですよ、まったく…。 保健室には連れてきませんが、僕が治療しますよ」 私の手を引いて生徒会室のソファに座らせた。 颯斗は私の横に座る。指は口の中にくわえたままだ。 唾液には消毒作用があるらしいよ! 『颯斗ってば、心配性ー』 「貴女に限りますがね」 そう言って生徒会室に備えてある救急箱を開けて絆創膏を取り出した。 あれ、颯斗なら消毒液も出してくると、思ってたんだけど。 私を眺める。そして何もアクションを起こさない。 『颯斗?』 「…」 おーい、と言おうとする口に含まれていた指を抜かれ、 とぱくっ、と別の口の中に含まれた。 誰に。―――颯斗に、だ。 『は、ははは颯斗ー!?』 「…ん」 ちゅっ、とわざと音を立てて傷口含む指を吸った。 『ぅひっ』 「…ま、こんなもんですかね」 そう言って満足したように笑い絆創膏を傷口に貼る。 「…口の中、血の味しますね」 『そりゃ、傷口舐めたんだからそうでしょうよ』 「ふふっ、恥ずかしかったですか?」 『そ、んなわけないじゃん』 「…へえ、 顔、真っ赤ですよ」 (な、ななわけないじゃん)(耳まで真っ赤で可愛いですよ)(は、颯斗には勝てない…!) ◎おまけ 「おい、颯斗たちイチャイチャし過ぎだろ…」 「ふふっ、良いじゃないですか。それに颯斗くんがあんなになるのってなまえちゃんの前でだけなんですから」 「まあな。…俺らもラブラブしとくか?」 「誰がしますか、不知火会長」 「月子怖いぞ。冗談だ、すまなかった」 ブラック月子発動。不知火マジで謝る。 ←→ |