『さっぶ!寒い寒い!』 風がびゅうっ、と吹きスカートのあたしには足の間に風が吹き込んだ。 隣の梓くんはあたしのことを見て笑った。 「マフラーとか巻いてないからですよ、先輩バカですね」 『うるさいよ梓くん!自分だけ巻きやがってちくしょう!』 「貸しましょうか?」 そう言ってマフラーを解こうとした手をあたしは止めた。 『いいよーあたしに貸したら梓くんが寒いじゃん。それに寮まで直ぐだし』 「あの、「梓ー!!」…翼」 梓くんが何か言おうとした時に丁度背後から梓くんが言葉を重ねた。 「梓ー!はいこれ、誕生日おめでとうなのだー」 あたし達の隣に来て綺麗にラッピングされた袋を二つ手渡される。 「ありがとう、…って何で2つ?」 「書記が仕事抜けられそうにないから、って」 「ああ…夜久先輩にありがとうって言っといて」 分かった、と元気よく返事をし翼くんは来た道を帰っていった。 渡されたプレゼントを鞄に突っ込む梓くん。 『今日って梓くんの誕生日だったの?』 「そうですよ、12月20日です」 『へー…誕生日プレゼント何がいい?』 そう言うと驚いたような顔をした。え、何で驚くし。 「…くれるんですか?」 『…それ捕らえ方によってはどんだけケチなんだ、あたし』 「や、違うんですけど。…今貰ってもいいですか?」 今?今たいした物持ってないよ。 何が欲しいんだ梓くん。寛大な先輩に言ってごらん! 『何が欲しい?ちなみに今チョコレートと飴しか持ってないよ』 「そーいうのが欲しいんじゃなくて、」 と一言置き、どんどん顔が近づいてきた。え、何。 頬にふにゅっとした物が当たった。へ、 「…ご馳走様でした」 『…今、ちゅーした?』 そう言うと悪びれる様子もなくはい、と笑顔で言った。 漫画的シチュエーション (うわー…今漫画とかの主人公になった気分だよ)(…(この先輩は告白しないとダメだな)) ハッピーバースデイ!梓! ←→ |