short | ナノ
あたしの彼氏はかっこいい。

もうね王子様レベル!あ、あたしはお姫さまじゃないよ!不細工だもん。
お姫様は月子ちゃんだよね!あ、でも錫也はとられたくないからなあ…。
やばい、脱線してきた。


「…い!おい!みょうじ!!」
『ぅえ!?』
「お前いま完璧に自分の世界に閉じこもってだろ」
『陽日先生、ごめん☆』

ちゃんと授業聞いとけよー、と注意され陽日先生は黒板に目を戻した。
ちらり、と錫也含め4人を見ると私を見てクスクス笑っていた。

ちょ、集団で笑うとかひどい!
ただでさえ一人だけ離れちゃって寂しいのに!

そして我が彼氏錫也とばちっ、と目があうと口をぱくぱく動かした。え、なになに?
たったの二文字。バーカ、と。

『(ば、ばかじゃないし!)』

何も反論できずに居るとクスクスと一人で笑っていた。
そしてその錫也が陽日先生に当てられた。

ざまあ!とか思ってたらすくっ、と立って先生の質問にさらりと答える。ええええ。
正解!と言われ笑顔で錫也は座る。

そして座ってすぐこっちに振り向き余裕な笑顔。あたしフィルターではがっつりドヤ顔。
むきいいいいっ!



『錫也っ』
「ははっ、ごめんごめん」

両手で錫也の頭をぽかぽか殴る。そしてその手をいとも簡単に押さえつけられる。腹立つ!

近くの席では月子たちが笑いながらあたし達を見ている。

『あんなに笑わなくたっていいじゃん!』
「いやあ、なに考えてるのか分かりやすくってさ」
『………何だと思ってんの?』

そう言うとにこりと笑い、あたしを引き寄せ耳元に口を寄せる。

「…どうせ、俺の事でしょ?」
『っ〜〜〜…』

急いで離れ囁かれた方の耳を押さえる。うああああ…!
ほんと、ちょ、も、…うわああああ!耳がっ!耳がっ!

『す、錫也っ!!』
「ホント耳弱いなあ、お前は」

あたしを見てケラケラ笑う錫也。

「でも当たりだろ?」
『そ、うだよ』
「…ほんと、お前は可愛いな」

手を引っ張り再度抱きしめられた。
う わ、わわっ

「ほーんと大好きだよ」
『あ、たしも大好き!』
「俺の方が愛してるからね?」
『っ〜〜〜!』

駄目だ錫也の声には勝てないぞ。
いや、錫也の声だけに勝てないわけでもないんだけれど。

ほんと耳元に囁かれるのはアウトだと思うんだ。

やばいやばいやばいやばい!頭がぱーんってなる!←
あれほんと夢?なわけないか!いやむしろnot夢!!

錫也もうほんとあたしの妄想の産物とかじゃないよね!?
なんか御伽噺から出てきたとか、ちょ、王子様とかじゃないの!?
あは、あたしの頭やばーい!錫也のせいでぱーんってなっちゃたからか?

「なまえ?おーいなまえー…駄目だ、完璧自分の世界に入っちゃってる…」

「「「…(ここが教室って分かってるのかなあ…)」」」

『(ふああああ…!!錫也かっこいいマジイケメンああもう王子様!)』


世界で一番おうじさま!!
(なまえー?考えてる事駄々漏れだよ)(うそ!?)(俺が王子様ならお前はお姫様だよな)


―――
せっかーいでいちばんおひめさま!
BY ワールド イズ マイン