ぶわっ、と風が舞いピンクの花びらが宙に舞った。 あたしの髪もふわりと乱れた。 卒業だなあ。しみじみそんな事考えながら桜の木を眺めていると後ろから名前を呼ばれた。 振り返ると見慣れた銀の髪の毛。 『なに?一樹』 「颯斗たちが一緒に写真撮らないかって」 『ああ…、一樹はもう撮ったの?』 撮るわけないだろ、とあたしの頭を小突いた。 「お前も居て撮んなきゃ意味ないだろ?」 『えー、でもあたし生徒会の手伝いだったじゃん。生徒会のメンバーじゃないよ』 「なわけあるか。お前も仲間に決まってんだろ」 『一樹は優しいねえ』 「そりゃどーも。ほら行くぞ」 首に腕を巻きつけてあたしを颯斗たちの方へ連れて行く。 一応あたしの先輩だもんねえ。若干強引だよ、一樹。 『一樹は大学だっけ?』 「ああ、ちょっと星月学園から離れてるとこだけどな。お前は…アメリカだっけ?」 『うん』 「だいぶ…離れちまうな」 顔は見れなかった。どんな顔をしてるのか知るのがちょっと怖かった。 『…そうだねえ、寂しくなるね』 「あ、のさ!」 肩においていた手を外して一樹と向き合う形で、今度は両手であたしの両肩を掴んだ。 見るのが怖かった一樹の瞳はしっかりとあたしを見据えていて。 一樹は肩を掴んでいた手を自分の腰にやる。照れたように顔を少しだけ背けた。 一樹は強いね、あたしは臆病なんだよね。 いえない、だって断れるのが怖い。 『、一樹』 だから、そういうところに惹かれたのかもしれない。 「…あのさ、俺」 『』 「お前の事す、」 先は言わせなかった。 あたしが一樹の襟を掴み力いっぱい引き寄せ顔と顔の間に挟んだ手越しにキスをした。 あたしの唇が当たった反対側のところに柔らかい感触。 「っ…」 『あたしも同じ気持ちだけど、また、逢ったときに言って? 今言って、未来で気持ちが変わっちゃうのが怖いから』 「そんなこと、」 『ないってあたしは言い切れないの、怖いから』 お願い、もう一度改めて強く言うと一樹は唸りながら頭を掻いた。 「おっまえは…っああもう!」 『ごめ、』 今度はあたしの方が阻まれた。 一樹がさっきのあたしのように手のひら越しにキスを落とした。 …これは、自分がやってたら何も感じないけど…だいぶ、恥ずかしいんだな…。 「…やり逃げなんて、許さねえから、な?」 ニヤリ、と一樹は不敵に笑った。そしてそのまま抱き寄せられる。 「今はこれだけで我慢しといてやるよ」 『…ばーか、これだけで終わるかもよ?』 「俺から終わる事はないから安心してろよ」 未だ好き?ってそんなの愚問だろ 数年後 (なまえー)(うわっ、ちょっと重い!)(…好きだ、愛してる)(っ、耳元で囁くなっ)(ははっ、やっぱりお前の事好きだ) とりあえず耳元で囁かれるのはアウトです^ω^ ←→ |