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>> 免じて

もうすぐ着くよ。
そう、メールを送って5分後。
家の玄関で待っていて、という意味だったにこの子ってば
マンションの入り口で待っていた。

「なまえ…!?」

なまえの姿を見つけた僕は当然困惑。
僕の声が聞こえたのかぱっと顔を上げた。

『梓先輩!おかえりなさい!』

…そんな満面の笑みで出迎えられたら怒れない。
ああもう、

「ただいま」

結局、僕も笑顔になってしまうのだ。

「あーもう、さっさと部屋行くよ」
『はいっ!』

なんていうか、…前々から思ってたけどなまえって怒りづらいんだよなあ…。
なまえの冷えた手を掴みマンションの階段に足をかけた。


僕となまえは星月学園で先輩後輩という関係性で出会い
恋人となりなまえの卒業と同時にアメリカの大学に引っ張ってきて
つい先日、めでたく結婚したばかりだ。

まあ、所謂新婚さんってやつなわけですよ。

『梓先輩、今日もお疲れ様でした』
「ああうん、なまえもね。土萌先輩とは仲良くやってる?」
『めでたく上司になりました』

嬉しそうに笑うなまえ。土萌先輩に若干の嫉妬心。
ああ、畜生。話題のチョイスしくった。

やっぱり愛してやまない奥さんから別の男の名前が出てくるのは非常に面白くない。

このままでは、ずーっと土萌先輩の話になりそうな予感がする。

『羊先輩ね…って梓先輩、ご飯食べながらお話しましょうよ』
「………」
『梓先輩?』
「………なんで、敬語なの」

危ない危ない。
嫉妬心に任せて押し倒してやろうかな、なんて思ってない思ってない。

『へ?』
「なんで敬語なの?僕ら夫婦だから敬語要らないよ」
『あ、でも癖で…』
「それじゃあ敬語をなくすことを癖にしようか」

ね、って言うと善処しますとこにょごにょ呟いてた。

「あと先輩呼び。もう僕は先輩じゃないし。旦那だから。はいリピートアフタミー、梓」
『っ、だ、で…っできません!』
「どうして?」
『は、』

恥ずかしいですもん…、と真っ赤になった顔で俯いた。

ああもう、どうして僕の奥さんはこんなに可愛いんだよ。犯罪だ、

『わっ、ちょ…っ梓先輩…?』
「…捕まえた」

捕まってしまえばいいんだ、僕に。
引き寄せて抱き締めれば大人しく僕の背中に腕を回す。

「早く、呼べるようになってね。じゃないと僕泣いちゃうから」
『えっ、えっ!?』

冗談のつもりで言った脅しに混乱しているなまえ。
予想外にも効果はあったようだ。

『っ、でも…、だって』
「なまえが僕を泣かせたいっていうならいいけどね…」
『っ、あ、あ、あずさ…』

…せんぱい、と小さく。
だからなんでくっつけちゃうんだよ先輩を。

『うー…やっぱ、ダメ!恥ずかしいです』
「………仕方ないから今日だけは許してあげる」


君の可愛さに免じてね
(明日から呼んでね、)(特別な呼び名でさ)



◎律さんリクエスト
梓と新婚夢でしたー^▽^

どうせバカップルな新婚さんになってると思います
ちくしょうリア充め←

梓と後輩彼女ってなんか萌えますよね
私だけか・ω・

律さんリクエストありがとうございました!


2011.05.07 望

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