30000Hit | ナノ
>> また始まる

大学の入学式。

ぶわあっ、と目の前で桜が舞った。
3年前、星月学園の門をくぐったときに見た光景に似ている。

あの日、桜に見とれていてこけかけた私はもう居ない。
支えてくれた、あの春に似つかわしくない緑頭も同じ教室には居ない。

卒業式の日に告白なんて馬鹿げたことをしてしまって大変後悔しているが、今更遅いのだ。
卒業式を境にいっきに気まずくなってしまい
結局春からどこに行くのかさえ聞けずじまいだった。


もう一度言わせて貰う。
大変、物凄く、滅茶苦茶、後悔している。


つまらない入学式を終え、講堂から一斉に人が散る。
私も人の波にもまれながら頑張って講堂を出たら、
バランスを崩して前の人にぶつかった。

謝ろうとぱっと顔をあげると、

あれあれ。ものすごーく見覚えのある、あの目立つ緑頭は。
春に似つかわしくない緑頭は。

『隆文?』
「あ?って、なまえ!?」

ああやっぱり。
ぶつかった人は隆文だった。

「え、なんでお前ここにいんの」
『なんでって…私ここ受けたもん』
「は!?なにそれ俺聞いてねえぞ!」
『はあ!?言ったよ!』

言ったよ!言ってねえよ!の言い争いin廊下。
ちくしょう、なんだ。卒業式でのあの感動の涙を返せ。

「なんだよー…」
『…嫌なら別に、関わんないけど』
「べっつに、そんなこと言ってないだろー?
…まあ、その…あれだ。まだあの告白有効なら、返事いましても良いか」
『いまぁ!?空気読んでよ!ここ廊下!』

ふいんきのカケラもないでしょうが!と非難の声をあげると
いやふんいきな、と突っ込まれた。隆文ちくしょう。

『………とにかく、今はイヤだ』
「…おう」
『とりあえずまあ…四年間よろしく』


また始まる
(あの日から、)(私は君に恋したの)

どうせ、どうせ鈍感なお前のことだから気づいてなんかいやしない。

言い争いしてた廊下でどんだけ注目されてたかなんて。
夜久も騒がれていたが、お前だって負けちゃいない。

…早く繋ぎ止めておかなければ、なんて柄にもなく思ったじゃねえか。
馬鹿野郎。
(そんなお前に)(俺は恋した)



◎梨乃さんリクエスト
犬飼の話でしたー^▽^

あれなんだろうこのスランプ感漂う小説←
犬飼の話を書くのは初めてだったので
これで良いのかしら…と思ってます(´・ω・`)
良いのかしら!?梨乃さん!←

何はともあれ梨乃さん
リクエストありがとうございました!(*´ェ`*)


2011.05.27 望

prev//next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -