>> 限定 『どこに、何しに、行ってたの?』 目の前のなまえは明らかに怒っている。 俺の目も見ないで、素っ気なくその言葉をなまえは放った。 だがいくらなんでも今はなまえに何処に、何しに行ってたのかなんて言えない。 「哉太、のとこだよ」 『………そっか。 哉太から、メールで…"月子と錫也が一緒に居るんだけどお前は知ってんのか"ってメールきたんだけど、 こっちが嘘なの?』 ぐさり。 俺を見つめるなまえの視線は刺さるように痛い。 思わず視線を反らすと、はぁとため息が返ってきた。 『…嫌いになったなら、言えばいいじゃない。 ………こんな形で、知りたくなんてなかった』 なまえは扉の前に立っていた俺の横をするりと通り抜けた。 「ま、…っ、」 引き留めようとした言葉は玄関の扉が閉まる音に遮られた。 向かった先は星月学園の屋上庭園。 ベンチで体育座りをしてボーッと夕暮れの空を見つめる。 携帯は一応ポケットに入れていたので問題はない。 さっきから錫也から何度か電話やメールがくるが無視。 街で錫也の隣に月子が並んでいるのを想像する。 …お似合いなんだろうな、…私なんかより。 またポケットで振動。 一応取り出してみると哉太から電話だった。 『…もしもし、』 「お前いま何処に居るんだよ!?」 『………言ったら錫也に直通するから言いたくない』 そう言うと哉太が言葉を詰まらせた。 ほら、やっぱり。 「…あのなあ、ちゃんと錫也の話聞いてやったらどうだよ?」 『…』 「錫也が浮気なんてするわけねえだろ?アイツはお前が一番好きなんだから」 そんなの、私は分かんない。 哉太は幼馴染みだから分かるのかもしれないけど、 私なんて錫也と付き合いだして3年目。同棲しだして1年だ。 「錫也、俺や月子に宮地なんかにも電話して、 お前が何処にいるか探してるんだぞ」 『………ほんとはメンドクサイのかもしれないよ。責任で動いてるだけだけかもよ』 「お前なあ…」 哉太が呆れたように声をあげる。 だって、だってだって。 『じゃあなんで誤魔化したりなんかするの』 「それは…、俺は錫也じゃねえからわかんねえけどさ…」 正々堂々、月子と出掛けていたと言ってくれれば良かったのに。 そしたらこんなにモヤモヤしなくても良かったのに。 『…話聞かなかったのは悪かったけどさ、…まだいじけてたい』 「そろそろ、終わりにして話聞いてくれないか?」 『…すず、や』 「…錫也きたみたいだな。じゃあな。ちゃんと仲直りしろよ」 一方的に言い放ちぷつり、と電話が切れた。 『なんで、どうして…?』 「陽日先生が電話くれた。だから急いで来た」 そう言う錫也の額にはうっすら汗が滲んでいる。 「ごめん、でも言い訳聞いてくれる?」 『………うん、』 ありがとう。 そう言って安心したように笑う錫也。 錫也は私の隣に腰を下ろす。 私は錫也の口から紡がれる言葉を待った。 「実は、…これを買いに行ってたんだ」 『………箱』 「いやうん、箱だけど。大事なのは中身」 錫也が傍らから取り出したその箱見たことある。 なにで、ドラマもしくは漫画で。 よく分からなくなってきた展開に頭を混乱させていると 錫也が箱を開いた。 「誕生日おめでとう」 『え、あ…今日、私の誕生日だ…』 「いつもなら自分でお前の好みはある程度分かってるからさ 一人で選ぶんだけど… 今日のは特別だから失敗したくなかったんだ」 だから月子に着いてきてもらった、と眉を下げる。 ああもう、…私のバカ。 『…ごめん』 「俺こそごめん、でもこれはお前に秘密で買いたかったんだ」 『…ん、』 「…誤解解けたみたいだから言っていいよな」 なに言うんだろ、首を傾げていると錫也が右手を握ってきた。 右手を見つめて、錫也に視線を戻すと錫也も私を見つめていた。 その視線にどきりと心臓が跳ねる。 『すず、』 「俺と結婚してください。 俺が、他の誰かじゃなくて俺がお前を幸せにしたい」 真っ直ぐな蒼い瞳に捕らえられる。 『錫也と居れば私、一番幸せになれるよ』 「っ、じゃあ」 『錫也の隣にずっと居たい。 幸せなときも辛いときも、どんなときも錫也の傍に居たい』 「………ありがとう。どうしよう、嬉しすぎて死にそうだ」 隣は私限定で (指輪、可愛い)(お前の好きそうなやつ選んだから、気に入ってくれなきゃ困る) ◎水無月さんリクエスト 錫也でヒロインの誕生日に喧嘩して仲直りでした(`・ω・´) 仲直りというか… まさかの求婚してしまいました(°∀°)アハッ!← 指が勝手に動いてしまったんだ…(シリアス風に)←(馬鹿か リクエストありがとございました!(*´▽`*) 2011.05.19 望 prev//next |