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な、な、な



『なまえさん、ちょっとこっちに』

くいくいと手を降り私を呼び寄せたのは生徒会室のソファ。
首を傾げながらとりあえず寄ってみる、と

『わっ』
「しーっ、貴女の分しかないから他の3人には内緒ですよ?」

口元に人差し指を当てて微笑む颯斗くん。
その前には、ケーキが1つと紅茶が2つ。

「宮地くんに貰ったのですが、生憎1つしかなかったもので」

だから貴女に。
そう言いながら私を座らせる。

『で、でも…颯斗くんの分…』
「僕は大丈夫ですよ。貴女が喜んでくれたらそれで結構です」

な、なんてフェミニストな回答!
ああしかしこれはうまい堂の新作ケーキじゃないですか!
宮地くんといつ行こうかなんて話をしたのは数日前。
(生憎生徒会が忙しくって行けないままだったけど)

『じゃあ、頂きます!』
「はいどうぞ」

フォークを手に取り一口に切ったケーキを口に運ぶ。

ふわりと口内に甘い味が広がる。
颯斗くんが隣でくすくす笑っている。

「貴女は美味しそうに食べますね」
『だ、だって美味しいんだもん』

さすがうまい堂さんだ…。

「ところで、」
『ん、なに?』
「宮地くんと二人で一緒に食べに行く約束をしていたんですってね」

うん、と頷きながらもケーキにしか目がいってなかったのが悪かったのか。
強調した"二人"に気付かなかったのが悪かったのか。

「そんなの、」

と近くで聞こえた、一瞬あとに
ぺろりと頬に生暖かいものが触れた。

いや、触れたというよりも、

ぎぎっと颯斗くんの方へゆっくり顔を向ける、と

「許しませんよ?」

にっこり素敵真っ黒スマイルが直ぐ近くにあった。

行くなら僕と行きましょうね、なんて言葉は聞こえなかった。
『な、な、な、舐めた…っ!?』
(な、舐めた?)(舐めた)(お、お嫁にいけない…)(僕のとこに来れば良いですよ)




あとがき

新羅妓さんリクエスト『颯斗と生徒会室にて甘甘』でした^^

颯斗あんまり書いたことないのでどうなんでしょうな…
キャラ崩壊もいいとこだと思いますテヘッ(=°ω°=)←

新羅妓さんリクエストありがとうございました!



2011.03.27 望

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