『…』 「…」 ………なんなんだろう。こいつは。 こいつというのは、私のところに(呼んでもないのに)いきなり来ておいて膨れっ面の星月学園の生徒会長様で。 …あんたもう19歳だろーに。 これ写真撮って桜士郎に売ったら良いお金になるんじゃないの。 「…」 『かず、』「なまえ?ちょっと良い?」 私を呼んだのは誉で。これ以上一樹と居ても無駄だなあと判断した私は、 『ん、良いよ』 「っ、!」 明らかに動揺した一樹。でも私は見てみぬ振り。 一樹が何も言わないから私は何を求められているのか分かりません。 だから、 だんっと一樹の前の机に手をついた。 『言いたいことあんならハッキリして』 私が面倒臭がりなの知ってるでしょ、そう言い残して誉のところへ行った。後ろは見なかった。 今更、こんなこと言わなきゃ分かんないの? 何年彼氏彼女の関係なのさ。 はあ、と溜め息が思わずこぼれた。 誉が頭にぽんと手を乗せた。顔をあげると困ったような笑顔だった。 きっと溜め息の原因も薄々は気づいてるんだろうなあ。誉は聡い。 「お疲れ様」 『…、お馬鹿な彼氏で疲れる』 「僕に乗り換えとく?」 その提案に私が乗らないの知ってるくせに、吹っ掛けてきた誉は、 『…するわけないじゃん』 「そうなの、残念」 …絶対そんなの思ってないくせに。 『で、用ってなに?』 「いや、二人の雰囲気が殺伐としてたからさ。突破口?」 みたいな、と付け足してきた。 まあ確かに…。 「というわけで、」 私の肩を誉が押した。 重力よろしく体が倒れていく。 わー、誉ってば意味分かんなーい。 痛みに備えて目を瞑ったら、ふわりと嗅ぎ慣れた匂いがした。 『……一樹』 「誉、こいつ返してもらうぞ」 抱き留めていたのはやっぱり一樹で、 誉はどうぞ、とにこやかに返事をした。ちょ、おい私の意思は聞かない…人ですよねーそうでした。 一樹は私を半ば強引に引っ張って生徒会室に連れやった。 「言いたいことまとまったから言うぞ」 …壁に押し付けてるのはなぜでしょう。 とか私に拒否権その他諸々はねーんだよな。畜生。基本的人権の尊重は何処へ。 「お前が毎日毎日俺以外の野郎と喋ってやがるから嫉妬した!そのくせお前は嫉妬しないから何かムカついた! どうだこれで満足か!?」 はたから見たら逆ギレととれるような言葉と態度で私に叫んだ。 『…絶対数が違うんだからブーたれんな、うざったい』 とりあえず、と一樹のおでこに一発デコピンを叩き込んだ。 いてえっ、と喚く一樹を満足げに眺めた。 『妬くわけないでしょ。はーか』 「………俺のこと好きじゃないのか?」 …だっから、 『何年彼氏彼女なの?』 「……3年」 『言わなきゃ分かんない? 好きだよ、好きだから信用してんの』 「………お前、」 お前、のあとは何なのか待っていると よりによって言うことが 「可愛いな」 とりあえずぶん殴ることは決定した。 愛情の裏返し (ったく、照れんなって)(成る程。不知火くんはもう一発殴って欲しいと) あとがき 凉華さんリクエスト『不知火にヤキモチをやかす3年生ヒロイン』でした! 不知火ちょうへたれ…!← 吃驚だ…\(◎o◎)/ビックリ← おっとこまえな主人公ちゃんになってしまいましたが どうでしょう… 凉華さんリクエストありがとうございました!! 2011.03.30. 望 |