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強がった君



※いろいろ捏造しまくり
主人公は一度だけヒロインで錫也と付き合ってる設定



「なまえにしょぼくれ耳が生えてて若干うざったいです。
どーにかしてください」

写真の添付付きの辛口メールが入った。月子の携帯に木ノ瀬くんから。

「うわ、これは…」

本気で耳が見えそうな勢いだ。
しかも日に日にしょぼくれ度はあがっているらしい(天羽くん情報)。

「錫也どういうことよ!」

月子が目尻を吊り上げて錫也をとっちめている。

「どういうことって言われてもな…」

俺だって分かんないんだって。

卒業をもう間近に控えた、そんな時期に
なまえの元気がないのは知っていた。
だけど、なまえは原因を訊く度に大丈夫と笑って、

その笑顔と言葉は強がりだろ?そのぐらい分かるよ。
木ノ瀬くんや天羽くんから毎回強がりの舞台裏を聞かせられるのは

正直、

「きっつ…」

なあ、俺ってそんなに頼りない?

それを口に出すのは憚られた。―――肯定されたら立ち直れない。


そのまま何もないまま、

原因が分からないまま、もう卒業式1日前。

「なまえが倒れた!!」

誰かが叫んだのか覚えてない。頭の中はなまえのことだけで。


「なまえ!!」

保健室へ駆け込むと、星月先生がベッドの横に座っていた。

そして、その奥にはなまえが眠っている。

星月先生は俺が入ってきたのを確認して、

「睡眠不足と過労だろう。最近こいつは頑張りすぎだ」

なまえは生徒会の副会長として、会長となった天羽くんと一緒に卒業生を送り出す準備に大忙しだ。
きっとそのせいなんだろう。

「じゃあ後は任せたぞ、東月」

そう言い残して星月先生は保健室を去った。

なまえの傍らに座って、手を握る。

『ん、…錫也、先輩…?』

なまえがうっすら目を開けた。

『あれ、…』
「なあ、」

なまえが寝起きで頭が覚醒してなくったって知らない。

ほんとは、
原因が分からないわけじゃなかったんだ。

「大丈夫?」
『あ、はい…大丈夫、です。体とか全然痛くないし』
「ごめん、質問のしかたが悪かった。
俺が卒業しても、大丈夫?」

なまえは一瞬固まって、

『大丈夫、ですよ』

手をなまえの頬へ伸ばした。
ぐいっ、と目元を親指で拭う。

「強がんなくて良いよ。ていうか頼むから強がんないで。甘えて?我が儘言って?」

そう言って錫也は涙を流すなまえを抱き寄せた。

卒業すると離れる。から、淋しい。から、卒業して欲しくない。

だけどそんなワガママで世界が回ってくれるはずもない。

分かってるから叶わない我儘を言って困らせたくなかった。

この人に、錫也先輩に釣り合う彼女になりたいから。

頑張りたかった。

なまえは言葉を嗚咽の間に挟んで吐き出した。

「でもな俺も離れたくないからさ、言って。寂しいって。会いたいって」
『でも出来るだけ我慢したい、です』

もうだいぶ涙は収まっていた。
それでも最近触れていなかったなまえを離したくなかった。

「じゃあ我慢したくなくなったら俺を呼べよ、分かった?」
『はいっ』

いつも通りの返事に安堵。さらに力強く抱き締める。

『す、ずや先輩?』
「ちょっと、充電…」

正直に最近構ってくれないから拗ねそうだった、と言うと
拗ねた錫也先輩見てみたい、となまえは笑った。

強がった君より、
いつもの君

(あー、離れたくない)(私もです(ぎゅう)(…(なっ、んだこの可愛い生物は…))




あとがき


惺さんリクエスト「卒業ネタで一度だけヒロインと切甘」でした。

生徒会が忙しくって錫也の側に居れない。
だけど我儘言うのも嫌だ。
でも離れたくない、とか悶々してれば良いんですよこの子←
みたいなのを文章にしてみました、ドーン←

リクエストありがとうございました!(*´ェ`*)



2011.03.21 望

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