「嫌いって言うなら、そんな泣きそうな顔すんな」
…抱き締めたくなるだろ、ばか。
お前がそんなんじゃ俺だってお前を好き"だった"になるようになんて出来ない。
「頼むから…、言うならちゃんと俺の顔を見て本気で嫌そうな顔をして言ってくれよ」
『…っ』
とか言いつつ心の中では言わないでくれ、と念を込める。
暫く(と言っても多分二分とか三分ぐらいの話だろうけど)待ってもハルキは何も言わずに俯いたままだ。
「…ハルキ、好きだ」
『っ…』
「お前と、一緒に居たいんだ」
揺らぐ瞳は、迷ってると思って良いか。
仕方ないだろ、だってお前が期待させるようなことしたんだから。
『…っだって、また…誰かの傍に居たいって思ったら…また居なくなっちゃうんじゃないかって、!』
それは、…俺の傍に居たいと思ったら俺が怪我したから逃げたっていう風に捉えたって文句は言えないだろ。
ぼたぼたと地面にシミをつくっていく涙。ああもうだから泣くなって。
『駄目なんです、欲張りになっちゃうから…!』
「…お前を独りになんてしない。絶対なんて約束は出来ないけど絶対になるように努力はするから」
顔上げろ、と言うとハルキが顔を横に振った。
「もう泣かないんじゃなかったのか?」
『泣かせたの、誰ですか…っ!』
「…なあ、抱き締めたいからこっち来てくれないか。そんで、ちゃんとおまえの気持ち聞かせて」
そう言うとハルキはゆっくりとこっちに来て、俺の胸に凭れた。ゆっくりその身体に腕を回す。
『…先輩の、傍に居たい、です』
「っ…好き、だ」
もしかしたら俺の声は震えていたかもしれない。だって仕方ないだろ、やっと手に入れたんだから。
そういうとハルキは俺の胸に顔を埋めて、小さな声で私もです、と言った。
…何だかなあ。
「わたしも、何だ?」
どれだけ焦らされたと思ってるんだ。これぐらいの我儘、許してくれよ?
俺はお前の口からちゃんと聞きたい。
『…意地悪、』
「意地悪で結構だ。で…私も、の続きは?」
そう催促する。俯いていても耳は見えてるから。耳すっげえ真っ赤だ。
『先輩が、…好き、です』
「、上出来」
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(可愛いお前を)(独りになんて)(俺がさせるか)