私はもう次の日には退院と言い渡された。(まあ気絶したようなものだからそれはそうか)
一樹先輩は予定は二週間後らしい。…受験生なのに、悪いことしてしまったなあ…。
星月先生の車に乗り学園に戻るとまず月子ちゃんに抱き締められた。
『わ、ッ!』
「ハルキちゃんハルキちゃん!!心配したんだよーっ!!!!」
『…うん、ごめんなさい』
ぎゅうぎゅうと力をきつくしていく月子ちゃんに黙って抱き締められることにする。
後ろの錫也くんも七海くんも苦笑いでそれを見ている。宮地くんはいつも通りの仏頂面だ。
「月子、いい加減離してやれよ」
「やだっ!!」
「やだっておま…何歳だよ…」
駄々っ子のように私に張り付く月子ちゃん。それをべりっと錫也くんが剥がす。
「月子。ハルキは怪我をしてるんだ。悪化させてどうする」
「うぅ…」
月子ちゃんは錫也くんに襟に指を突っ込まれているので私の方へ手を伸ばしてくるのみだ。
「宮地。教室まで送ってやれ」
「はい」
鞄を星月先生から受け取った宮地くん。
「お前らも遅刻するから散れ散れー」
眠そうな星月先生が手をしっしっと動かす。
「ええ…っ!ハルキちゃん昼休みに会いに行くからねーっ!!」
「ほら月子!行くぞ」
「一緒にメシ食おうぜ」
『…はい、待ってます』
三人を見送ってから宮地くんがゆっくり歩き出した。
教室に行くまで、宮地くんはだんまりだった。
そして扉を開いた瞬間、星座科の皆が駆けてきた。そして皆思い思いに声をかけてくる。
「冬原―――――ッ!!大丈夫か!?」
「白鳥うるさいよ…、冬原ーすっごい心配したよ…」
「お前二階から落ちといて無事とか奇跡だな!神様に感謝しろよ!」
「いや不知火会長に感謝すべきじゃ…っておおおッ?!冬原が泣いたああッ!!」
自分でも分かっていて、瞼の下を手のひらで拭う。
「ど、どしたッ!?傷が痛いのか!?」
『ち、ちが…なんか、心配されて、うれしくて…』
そう言うと、皆がシーンと静まる。
「馬鹿、心配しない奴なんて少なくともこのクラスに居るわけないだろう」
宮地くんが後ろから軽くチョップ。頭が微妙に傾いだ。
そして宮地くんの言葉を皮切りにそうだそうだーと皆叫んだ。
心ならやさしさで満ちていて
title by 約30の嘘