lonely lonely | ナノ

空いている
あの日から。

一樹先輩は私にメールも電話もしてこなくなった。
ただ一通だけ、広報は別の奴にでも頼むよ。悪かった。と送られてきていた。それにも返信は出せていない。

そしてそれから学園でもまったく接触していない。
元々接点も特にないのだ。これで意識的に「避ける」と考えながら行動したら会うことなんてほぼないに決まってる。

これで、良い。
全部リセットされただけの話。



そしてそろそろ夏も終わる季節になった。

『宮地くん』
「む、どうした」
『ここ、分からないんだけど…』

恒例になってきた図書館での勉強会。ちなみに今回は私に宮地くん、月子ちゃんに錫也くんと小規模だ。
宮地くんに授業の不明点を質問していると、月子ちゃんや錫也くんが何故かこちらを微笑ましそうに見ているのが分かった。

『どうかした?』
「ほらねっ!」
「ほんとだ…よく気がついたな」

え、凄い置いてかれてる気がする。宮地くんも隣でぽかーんとしている。

「ハルキちゃんね、たまに敬語が外れてるの!」
『え…』
「私たちみたいによく話す人だけみたいだけどね」

ふふっ、と笑う月子ちゃん。え、敬語外れてた、のか…。

『そう、なんですか…』
「ええっ、どうして戻しちゃうの?私敬語じゃないほうが好きだよ!」

好きといわれても、月子ちゃん!
私はどうすれば良いのかよく分からなくてあうあうしている。
そしてそんな姿を見ながら笑う錫也くんと宮地くん。

楽しいはずの日常なのに。
どこかが空いている
(それがなにかは)(気付いてないフリ)


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