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忘れていた
「ハルキー!今日生徒会すっから来いよー!」
『…は?』

クラスメイトの視線が私に集中するが私だって固まっている。
そんな「え、どういうことだよ」みたいな目で見ないでください。
私だって吃驚だ。入学式から1ヶ月もたってるのにぶっちゃけそんな話覚えていなかった。


『い、ま、す、ぐ!除名してください!!』

バンッと生徒会長の仰仰しい机を両手で叩く。
一樹先輩の眼鏡が少しだけずれた。

「なにから?」
『いやいや…私生徒会なんて入りませんよ!』
「え、ハルキちゃん…生徒会辞めちゃうの…?」

うぐっと言葉に詰まる。月子ちゃんそんな目で見ないで。
一樹先輩のにやにや顔がうざい。

『や、辞めます、よ…』
「そう、なんだ…」

ああああ!月子ちゃんしょーんってしちゃったじゃないですか!
これも全部一樹先輩のせいです。

「月子もああ言ってるんだからそんな事言うなよー」
『…嫌、です』
「………どうしても、か?」

…そんな風に言われるとすっごく困る。
一樹先輩にはお世話になったし、だから確かに恩返しというのも私のエゴかもしれないけど何かしたいとは思ってはいたけれども。

『…か、考えさせてください…』
「そうか!良かった!」

くっそう…せこい。二人してせこい。
私は煮え切らない思いで生徒会室を出た。


「あの、!」
『…』
「っ〜〜〜…冬原さん!」

どうしようか悩んでいたので分からなかった。後ろから名前を呼ぶ声に反応して振り返る。
ネクタイを見れば赤色で同級生のようだ。見たことはないけれど。

『なんですか?』

そう訊くと男子生徒はブレザーの袖を握って視線を彷徨わせる。
どうしたんだろう、と思っていると下唇を噛んでいたのがとれてあのっと大声で言う。

「あの、俺…冬原さんが、好きです…。
最初は綺麗だな、ぐらいだったんだけど…最近笑ってる姿を見るようになって…それで凄く可愛いなって」

だから学園に二人だけの女子だから付き合いたいとかそんなんじゃないです、そう告げた目は真剣で。
私はそれをただただ見つめることしか出来なくて。なぜか第三者視点で見ている気分になった。

「俺は、…冬原さんが好きです。だから、今すぐにとは言わないけど…返事をください…」

彼は自分の名前をクラスを告げてどこかへ行ってしまった。


何分ほどそこに立ち尽くしていたのかが分からないほど、そこで立ちすくんでいた。

『…好き、とか…言われたって、』

だって、和樹がおおきすぎるよ。
忘れられないことを忘れていた
(何も、)(考えられないんだ)


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