「冬原さんは、じゃあカスタードクリームつくってくれる?」
宮地くんがクリーム好きということでシュークリームを作ることになった。
宮地くんってクリーム好きなんだあ…。
『分かりました』
「それじゃあお願いします」
東月くんは私にそう頼んで、作業に入った。
私は有り難くクリームを作りながら一人で考える時間を貰った。
…なんで、今更会いたいなんて。
一番の謎がそれだ。それがつっかい棒になっている。
逃げちゃいけないのは分かってる、けど。
「冬原、おい冬原」
『………へ、』
いきなり聞こえた宮地くんの声。
意識を前に戻すと、宮地くんと東月くんがじーっと私を見ていた。
え、いつ来たの宮地くん。
「眉間のシワ、凄いよ?」そう言いながら東月くんが自分の眉間をさす。
うわ、そんなに…。
「何か悩み事があるなら、俺らに相談してみない?」
人懐っこそうな笑顔を浮かべて首を傾げる東月くん。
『でも、悪いですよ』
「…お前はいつも独りで何でもかんでもしようとする」
『…』
「誰かに頼ることを覚えろ」
宮地くんは揺るぎない目で私を見据える。
『た、よって…良いんですかね…』
「当たり前だよ、なに言ってるの。ね、宮地くん。それに俺二人目だよ?」
まだそれを引きずるか。
「む、当然だ。…二人目ってなんだ」
「冬原さんの友達ってことだよ。ちなみに一人目は月子、三人目は哉太だよ」
ぴっと人差し指をたてながらそう解説する。え、やめて。なんかすっごく恥ずかしくなってきた。
「…じゃあ俺は四人目だ」
『………はい』
真面目な顔で言うので、少し笑いそうになってしまった。
ご近所のお友達
title by約30の嘘