lonely lonely | ナノ

簡単
うー…号泣してしまった。
恥ずかしさと不甲斐なさで頭を押さえながら校舎の玄関に向かっていく。

あ、月子ちゃん達だ。目の前で歩いていた月子ちゃん達。
どうしよう、…話しかけるべき、なのかなあ…。

悩んでいると後ろからぽんっと背中を軽く叩かれた。振り替えると

「よお」

と、朝から爽やかな笑顔で挨拶してきた不知火先輩。思わず昨日の出来事が頭をよぎる。

『あ、…不知火、先輩』
「朝寒いな。風邪とか引くなよ?」

そう言ってにかっと笑う不知火先輩。わあ驚きの普通だ。意識してる自分が馬鹿みたいだ。
そんな推理をしてみると、不知火先輩がふと前に気付いたように声をかける。

「お、月子に七海に東月!」
『!』

3人が振り返る。
そして不知火先輩は「ほら行くぞ」と言って私の手を掴み3人の元へ連れて行った。

「不知火先輩!おはようございます!」

七海くんがきらきらした目で不知火先輩に挨拶した。東月くんはぺこりと一礼。
ああ、…七海くんって誰かに似てるな、と思ったら不知火先輩だ。

「よう、お前ら。最近寒いから風邪ひくなよー。あ、俺用事あるからこいつの事頼むな」
『ぇ、』
「じゃあな」

そして去り際に私の耳に顔を寄せ囁いた。

「がんばれ」

そう言って走ってどこかへ行ってしまった。

「おはよう、ハルキちゃん」
「おはよう、冬原さん」
「おっす、冬原」
『あ、おはよう…ございます』

どうしようどうしよう。ああ、もうどこに行ってしまったの不知火先輩戻ってきて。

「びっくりしたよー、ハルキちゃん一樹会長と仲直りしたの?」
『仲直りっていうか…』

なんだろう?よく分からなくて首を傾げると月子ちゃんも一緒に首を傾げた。

「任された事だし一緒に行こうか、こんな所で喋るのなんて寒いし」
『あ、そ…ですね』

東月くんの一言に全員で歩き出した。

「あ、そういえば今日って星見会じゃない?」

そういえばそうだった。
どうしよう、参加しようかしまいか。むう、と顎に手をあて考える。

「そうだな。寒くない格好で来るんだぞ、冬原さん?」
『へ』
「いやだから寒くない格好で来るように言ったんだけど…」

聞こえてた?そう確認する東月くん。
こんなときに倒置法なんて使わないでください東月くん。心臓が止まります。

『あ…どうしようかなって』
「え、ハルキちゃん行かないの?」
『その、今まで一回も行ったことないんです』

そういうと3人が「えっ!?」と揃えて声をあげる。そりゃそうですよね。
もうすぐ1年経つ(現在1月)のに一回も行ってないなんて有り得ない。そういう事だ。

「じゃあ今日行こうよ!凄い楽しいよ?」
『…じゃあ、行くだけ』
「だけかよ!星見ろよな」

ばかだなお前、と七海くんは言う。七海くんに言われたくないワードですね、それ。

「哉太にバカって言われるなんて…。終わったな冬原さん」
「錫也は俺になんか恨みでもあんのか…」
「ん、ないぞ?」

はははっ、と笑いながら言うくせに東月くんの笑顔が黒い。

「ねえハルキちゃん行こうよ!」
『…あの、』

言ってもいいのだろうか自分、大丈夫なの。
バクバクバクバク、心臓が異様に早く鼓動を刻む。

『一緒に、見てもいい、ですか…?』

最後のほうは小さくなってしまった。聞こえたのだろうか3人に。
いやむしろ聞こえてなくてもいい。恥ずかしさで爆発しそうだ。

上目遣いに3人を伺うと目を丸くしていた。
そして、

「もちろん!」

月子ちゃんが笑顔付きで代表して言ってくれた。
東月くんは笑顔で頷き、七海くんはさっきの不知火先輩のような笑顔。

『あー…安心したあ…』
「どうして?」
『いえ、いま…そうですね……言うところの"友達100人計画"みたいなのを遂行中でして』

一瞬開いて東月くんと七海くんが吹き出した。

『ひ、酷いですよ笑うなんて!一応真面目なのに!』
「ふはははっ!うはははっネーミングセンスゼロッ!!」
「ふっ、く…っあんまり笑ったら失礼、だぞ…哉太…!」

東月くんも爆笑してるし…!

「…ハルキちゃん」
『つ、月子ちゃんも笑います…?』
「私もう友達一人目だからね!」

にっこり笑って言う月子ちゃん。

「じゃあ俺は二人目ー」
「俺三人目」
『…ありがと、ございます』

涙が出そうになったのは秘密。
踏み出せば後は簡単
(じゃあ暖かい格好で来るんだぞ)(あ、はい(お母さんが此処に居る…))

2012.02.03 修正・加筆


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