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どうだっていい
担任の声と共に教室で一気に騒ぐ声が弾けた。

私はそのまま鞄を持ち教室を出る。
誰も声をかけない、いや気にしてるかもしれないけど声をかけ辛いのかもしれない。まあどっちでもいいんだけれど。

騒いでる人が嫌いなわけじゃない。もちろん騒いでる事自体が嫌いなわけでもない。

なにもかも、どうでもいいだけだ。

さっさと寮に帰って課題とかやる事して、ご飯食べてお風呂に入って眠る。私の日常サイクルは変わらない。

そしていつも通りの行動を繰り返そうとした私の前に一人立ちふさがった。
扉の前にどん、と立っているのは天文科の陽日先生だ。

『…あの、どいてください』
「なあ、何でお前は星見会に来ないんだ?」

出会い頭にその質問をぶつけてきた。
確かに入学してから星見会に行った事は一度もない。だから、何だというの?

『行く気がないからです』
「何でだ?星月学園に入学したのに星に興味がないのか?」
『…一人で見てる方が好きなんです』

半分嘘。でもそうでも言わないとこの先生は離してくれない。

「あーそっかあ、でも今度来て見ないか?楽しいぞ!」
『いえ、遠慮します。それじゃあ私は帰りますので』

するり、と陽日先生の横を通った。

「先生待ってるからなー!!」

後ろからそんな声が聞こえた。
だから、行く気なんてないですよ、私は。


寮へ向かう途中であははっ、と高めの声が聞こえた。
目を向けると星月学園で私ともう一人の女子・夜久月子さんと幼馴染2人が居た。

"学園の私じゃないほうの女子で美人で可愛くていい子"

そしてその屈託のない笑顔は純粋なんだなあ、と思わせるには充分で。私とは違い過ぎる。
きっと隣の幼馴染2人が汚いものを見せなかったんだと思う。

そんな卑屈なことを思っていると彼女と目があった。あ、やばいかもと思ったときには後の祭り。

「冬原さん!」

笑顔で手を振ってきたのを私は笑顔で会釈して返した、だけ。

もちろん彼女は屈託のない純粋で真っ白な笑顔で、私は貼り付けただけの笑顔で。
あなたと触れ合うつもりは私にはないのですよ、と無言でラインを引いて。

もしかしたら、別の解釈にとられるかも。

なんてちらっと掠めた。まあでもいいか。
だからようは、
どうだっていい
(冬原さん…私の事嫌いなのかな、)(そんな事ねえよ!俺が行って、)(哉太、お前じゃなくて俺が行くよ)


2012.02.03 修正・加筆


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