lonely lonely | ナノ

触れないで
「お前ら、明日は星見会だからなー」

風邪引かないように温かい格好で来いよー。最後にそう言って担任はホームルームを終わらせた。
さて、帰りますかね。そう思い椅子から腰を上げた。


寮に向かう途中で、後ろから名前を呼ばれた。
ああ、またこの人は…。

『…陽日先生、何かご用ですか…』

また、この先生は…私は星座科なのに。私は無関係の生徒なのに。

「お前、明日は来いよ!」

何を言っているかはもちろん分かる。

『…だから、行きませんって言ってるじゃないですか…』

露骨にため息をついても引き下がらない陽日先生。

「なんで、そんなに頑なに断るんだ?」
『だから、一人で見る方が好きなんです』
「星見会に行ったって一人で見れるだろ?」
『そりゃそうですけど、ね…』

どうせ、偽善でしょう?私を気にかけるなんて。放っておいてくれればいいのに。それが私にとって一番良いのに。

『…行きません』
「まあ来てみろって!楽しいぞ?」
『行きません』

…しつこいなあ、この先生。

『何言われたって行きません』
「…なあ、お前はさ。星月学園に来たってことは星が好きなんだろ?」
『…そうですが、なにか?』
「一回見たんだ。お前が夜中に屋上庭園で星見てたのを」

…だから、なに。それがなに。

「なんであんな悲しそうな顔で空を見てたんだ?」
『…陽日先生の気のせいですよ、それじゃあ私は帰ります』
「気のせいなんかじゃない。だって、お前は泣い、」
『っそんなんじゃない!』

幸い、私と陽日先生が居る廊下には誰も居なかった。

『…私が泣いてたのはきっと欠伸したからだと思いますよ。どっちにしたって、陽日先生には関係ありませんから』

もう私に関わらないでください、そう言うと陽日先生は目をぱちくりさせた。

そして私はそのまま玄関の方へ走った。…ただしくは、逃げた。
やっぱり私は逃げることしかできない子なのだ。

誰も、触れないで
(触れるだけでいたいの、)(痛くていたくて)


2012.02.03 修正・加筆


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