何がやりたかったんだろうと、私はがつがつとご飯を食べているリョウを見た。 数分前にリョウのお母さんが帰ってきているのに、リョウはまだ我が家でご飯を食べている。はやく帰れ、と内心思うものの、私の両親はゆっくり食べてもいいのよ、と笑いながら言うのだ。
「ごちそうさま」
自身が食べたお皿を洗い物の流しに置いて、自室へ向かう。 今日何か課題出てたっけなあ…。
「…っさま…!、名前ー!部屋に行くからなー」 「え」
聞かなかったふりをしたいが、多分無理だろう。数分もたたないうちにやってくるに違いない。部屋に鍵付いてればよかったのになあ。
「おっじゃまー!」 「私の部屋に、だろ…」
やはり数分もたたない内にきやがった。いや、問題はないんだ。部屋綺麗だし。 何が問題かと問われたら、リョウの暴れ具合である。何かしでかすと確実に埃が舞って気持ち悪くなる。
「今日、暴れないでよね」 「大丈夫!今日真面目な話するから!」
そういいながらも、私のベッドにぼふん、と倒れかかった。暴れるなって言ったのに。
「なー、ユウスケのことどう思ってる?」 「なんでいきなり田畑くん出てくるの。友達だよ、友達」 「真面目な話って言ったんだけど?」 「大まじめだよ、私は」 「なら、その癖直せばいいのに」
癖、…、なんの癖だろうか。髪をついとかしちゃうとか?いや、違う。
「わかってないな。まあわかんないほうがいいか。お前が嘘つくときの癖があるの。絶対わかんないだろーけど」 「…え」 「でさ、結局どう思ってる?」
答え辛い。でも嘘なんかついたらばれちゃうし。
「好きだよ、でも絶対脈なんてないから諦めようかなあって…ね?」
今現時点の本心である。叶うはずもない思いを抱えていても辛いだけだ。
「お前の気持ちはそんなもんだったってことだな」 「な…」 「好きなら諦めんなよ…!お前の好きな気持ちはそんなもんだったってことだろ…!よし、すっきりした。帰るわ!」 「…あーうん。じゃあ、ね」
なんだったんだろう。 リョウはあんな真剣に何が言いたかったんだろう。諦めるなってこと?
「諦められるわけ…、ないじゃん…」
さよならの前にさよなら (諦めようとした心にさよなら) (そして、弱虫な私もさよなら)
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