私のことを呼んだ彼女は田畑くんに告白したらしい、と風の噂で聞いた。しかし付き合った、だとか振っただとかそんなことは一つもわからなかった。
「なー、ユウスケあの子と付き合ってんのかよー」 「は?何回それ聞くんだよ、リョウ」
リョウはリョウでユウスケの恋路が気になるらしく一日に数回以上は聞いていて、返答するのがめんどくさくなってきている田畑くんは軽くリョウをあしらっている。うん、流石扱いに手慣れてるなあ、なんて当然なことを思いつつ(あいつら結構友達年数長い)、私はうとうとと船を漕いだ。眠い。
「なー、名前は気になんねぇのかよー」 「あー、何が?」
寝よう、と思って所謂自分腕枕をして顔を置こう、いや埋めようと思ったらリョウの声。少しは寝かせろ。
「ユウスケに彼女がいるかどうかだっつーの」 「本人に直接聞け。私は寝るから」 「はあ!?」
なんだよ、とか気になるだろ!とかリョウの声が耳に響く。
……気になるよ、でもその真実を聞いて私はこのままの関係に甘えられないよ。だから私はまだ聞かないの。
「田畑くん!」
女の子の声が聞こえた。 ああ、なあんだ、そういうことなんだ。
大好きな君が心底憎い (こういうのをはっきりしてほしかった)
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