田畑くんいますか、と同級生の女の子が私へ問い掛けてきた。まあ私の席が廊下側だから話しかけ易いということだけなのだろうが。

「ユウスケー、お呼ばれー」

いつの間にいたのか通称ミッさんが田畑くんを呼んだ。ミッさんは男の子だが、男女変わらず分け隔てなく仲がいいので、ミッさんと仲良くないというクラスメンバーはいないと断言出来るくらいだ。

「ん、誰が俺のこと呼んでるの?」
「この子、この子」

ミッさんはくいっと人差し指を曲げて女の子を引き寄せる。
私はなんだが見ていたくなかったので、ミッさんに簡単にお礼を言って私は机に突っ伏した。
どうせ、告白なんだろう。田畑くんは中身が残念だけどそれ以外はいい部類だから。でもその彼が特定の誰かと付き合うという所を見たことがない。いや噂さえ立たない。私でさえリョウとひどい噂(実は付き合ってるとか)が立つというのに、田畑くんは立っているところを聞いたことがない。まあないほうが楽か、なんて思ったりするけれど。

「おー、名前。起きろ」
「あ?なんだ。リョウか」
「すまんな、ユウスケじゃなくて」
「誰もそんなこと言ってないでしょ」

リョウは何か言いかけたみたいだけど私の顔を見て口を閉じた。


悲しい笑いがとまらない

(別に何もないというのに)
(どうしてこんなに心が痛いの)


120417

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -