わかっていた。彼は違う人なのだ。そんなことはわかっていた。

「有り得なかったんだから」

空メールを送信した後に私はいつの間にか寝ていたみたいだった。

「あ、起きたか!」
「おはよ…う?」

今聞いたことがあるけど、いつも聞いたことない声が聞こえた。誰の声、だっけ?

「ちょ、おま、ちゃんと服着ろって…!」

寝ぼけたままで私は言われたように少し開けていた服をぐいと引き伸ばし、元に戻した。

「よし、えーと…名前だよな?」
「そうですけど…」

がたん、と近くのものが揺れ私はリアルな夢だなあとぼうっと思う。

「そっか、そうか。お前がか!」

抱きしめられる感覚。少し暖かい。温い。眠い……。

私はそのまま眠りに落ちた。抱きしめられたまま、一緒にベッドへと倒れこんだのだった。


111215

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