次元が違うとか、意味わかんねぇ。だってこの前まで俺は名前と話していたし、メールもチャレンジしてみた。業者から見つかりませんってメールは来なかったし、勿論俺のところにも届かなかった。だからこそ、彼女に届いていたはずだった。
「奥村くん、諦めて下さい」
そのメフィス……いや、名前なんていいたくねぇピエロが俺に言った。諦めるなんて無理だ。だって俺はこんなにも―――……
「諦めんのは嫌だ、最後までやり遂げる」
ピエロは目を少し開き、最初の「祓魔師」になる宣言をしたときのように軽快に笑みを見せた。
「面白い!わかりました、ちょっとやってみましょうか☆」
バチン、とピエロはウインクをして(気持ち悪い)呪文を唱えた。目の前にはしっかりとしたドア。
「奥村くん、どうしますか?」
おそらく、入るか入らないかということなんだろう。そんなこと問いたって意味はない、もう俺は既に決めているのだから―…俺はドアノブに手をかけ少しずつ開く。
「時間の感覚は少しずれますから、あまり長時間いないようにしてくださいね」 「わかった」 「せめて3日です、これを持って行きなさい」
ひょいと投げられたのは、趣味の悪いピンク色の懐中時計。開くと中に日付が書かれていた。
「その日付をよく覚えているように、そうではないとこちらに戻ってこれないかもしれないですからね」
俺は頷き、時計をにぎりしめ、ドアの中へと入っていった。
111130
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