はて、どうしたことか。
ぼやけた意識のまま、私は顔を上げた。
「大丈夫かの?」
目の前には近い秀吉の顔。心配してくれているみたい。かわいい。あれ、上を向くと秀吉の顔って、まさか…抱きしめられて…?
「多分、…ひっ、何やって…」
いきなり冷たいものが私の額に当てられた。それは秀吉の手だったらしい。
「熱あるじゃろ?」
「ない…」
ため息をつかれ、私から離れようとする彼がいた。
…寂しいな…
え、寂しい?この俺、いや私が?多分怠いから、だ。そうだ。それしか考えられねぇよ。
「名前、水持ってくるから手、離してくれぬか?」
ぎゅ、と服の裾を握っていたらしく、そこをちらりと見つめた彼。女の子じゃない、男の子としての顔。私、俺、なんでそんな顔を見てどきっとするんだろうか。おかしい。おかしいじゃないか。
「やだ、まだ、このまま」
熱だかなんだかのせいで視界が歪む。頭も動かない。でもなんだか幸せなのは変わりなかった。
111119