俺は西村せんせに連れてかれる奴を見ながら、秀吉を仰ぎ見る。

「なんじゃ名前」
「いや、どうしてお前がいたのか知りたくってな」
「…勘じゃよ」
「はい嘘ー」

そういって俺は体を後ろへと傾けた。後ろにはまだ縄を解いている秀吉。

「おぬし…」
「怖かったんだ、男にあそこまでやられたことなかった。気迫演技だったとしても助かった。俺、まさか触れられるとかも思ってもみなかったんだ。…怖かった。…秀吉、助けてくれてありがとう」
「…、」

秀吉は聞いてくれていた。相槌もうたず、俺を突き放すことなく、ただただ黙って聞いていた。
俺にとっては嬉しいことで、そのまま数分が過ぎていた。

「名前、」
「なんだ?」
「遅くなってすまなかったの、」
「いいんだよ、助けてくれたんだし」

謝られても困る。私が1つの原因なのかもしれないし。

「おぬしは、男じゃなくて女じゃろ、怖くなるのは当然じゃ」

いつの間にか縄は解けていて、俺は肩を掴まれて後ろから抱きしめられていた。

「…秀、吉?」

秀吉は何も言わず俺を抱きしめていた。



111010

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