準備室へ連れて行き、周りに人がいないか確認する。暗い部屋だよなあ…本当。まあ準備室だからか、そう理解をして引っ張ってきた秀吉を自分の元へと引っ張る。

「…な、」

秀吉自身何故ここに連れられたのか理解していなく、びっくりしていた様子だった。

「名前どうしたのじゃ?」

ああ、もう馬鹿。ちくしょう。お前のせいだよ…。
自分の元へもっと引っ張り、ぎゅっ、と抱きしめる。女の子みたいな柔らかさはなかったが、男ほどの堅さはない。ちょうどいい。

「な、名前?!」
「ああ、もう馬鹿。お前のせいだっつの」

もう少し強く抱きしめる。

「どういうことなんじゃ?」

きょとんとしているこいつもこいつで、本当可愛いな。

「可愛いよな、本当、持ち帰りてぇよ」
「は?!」

本音がだだ漏れだ。まあいいか秀吉だし。

「名前、どういうことじゃ…」
「いや、もう可愛いな。本当。」

可愛いのはもうわかったから、と宥められる。そして俺から離れようと頑張っている秀吉を見て、はっと我に返った。

「…なあ、秀吉、」
「なんじゃ」
「忘れてくれ」

そういった俺に、秀吉は溜息をつき、了承してくれた。
「でも、いきなりどうしたのじゃ?急に人が変わったようでびっくりしたぞ?」
「説明しろと…。まあいいか」

そういって俺は秀吉に可愛いものを見ると抱き着きたくなる、とかそんなことを語っていた。秀吉はそれを聞きながら、青くなったり、赤くなったりしていて本当可愛いかった。

「このことは他言無用な」
「心得た」

時刻は既に夕方。帰る時間帯だ。部活は基本放課後だからまあいつでも帰れるが。

「帰るか」
「そうじゃの…、」
「なぁ、一緒に帰ろうぜ」
「、」
「無言は肯定として受け取った」

そういって俺は秀吉を引っ張り、準備室を出た。

「帰っぞー」

荷物をまとめ教室からでる。
空はもう赤みを増していて、遠くのほうはもう暗くなっていた。


110925


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テーマ「人外ファンタジー」
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