「どうして、どうしてなの…」
「どうしたことだ…」
『こんなにも思っているのに』
拍手が送られ、俺は演技をやめた。

「秀吉…もう少し女らしさ出せよ…きゅんってしねぇよ」
「それは難題じゃの…。じゃがおぬしももう少し強引さが足りんのう…」

互いに互いを批判し、褒める、それが俺らだった。もっと高みを目指したいし、取りたい。

「名前さん、」

名前を呼ばれ振り返ると女の子。顔真っ赤にしてて可愛い。食べちゃいたい。(さすがにいけない)

「なんだ?」
「これっ!」

そういって手渡されたのはタオルと飲み物…そしてクッキー。

「このクッキーって手作りか…?」
「はいっ」
「美味しくいただくな。ありがと」

そういって微笑みと女の子は走って逃げていってしまった。

「本当、かわいいよなあ…」

誰にも聞こえない声音で呟き、貰ったクッキーをポケットに突っ込む。ちらりと周りを見ると、秀吉が男共に囲まれているのが見える。まあ可愛いもんな、お持ち帰りしたいし。

「名前助けてくれ!」
「…わかったよ、貸し1な」

そういって、秀吉の周りにいる男共を退かしていく。まあ俺からしてみりゃ身長はほとんど小さい奴だから頭を掴み、秀吉から離していく。

「秀吉、だいじょ…って…」

男共を離して、秀吉に手を伸ばしたらすごく、なんというかすごく可愛くてもう、だめだった。色々と。

「助かったぞ、名前」

にこり、と微笑み俺の手をとる。ちくしょう、なんでこいつ男なんだよ。

「…名前?」

首を傾げて俺を見上げる。ああもう可愛いなあ、もう全く。

「すまん、ちょっとこっち来い」

さすがの俺も人がいる前では無理だったのか、秀吉をつれ準備室へ向かっていった。


110925

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