荷物をまとめ私と廉造は、柔造兄ちゃんに駅まで送って貰っていた。今日で見納めだ、この景色も。
柔造兄ちゃんや金ちゃんには悪魔?に取り付かれたことは言ってない。八百造さんにはすぐ気付かれたけど。恐ろしい。

「名前、また来てな」
「もちろん。あ、蝮ちゃんに渡しといてくれない?」

そういって私は手持ちの中から便箋を取り出す。柔造兄ちゃんは任せられた、と微笑んだ。

「そいや金造は?」
「まだ寝とるよ。見送りする言うたけど」
「金ちゃんらしいや」

そういって私と廉造は笑い合った。結局金ちゃんが気付いたのは私達が電車に乗ってるときだったけど。…遅いでしょ。
切符やらなんやら購入し、私は柔造兄ちゃんに手を挙げた。

「じゃあね!楽しかったよ」
「名前はちゃんと送り届けるで!」
「普通だろ」

私達は、一緒に電車へと乗り込んだ。

――…ガタン、…

電車が揺れる。今回は乗り換えなしで学園に帰れる電車。

「なあ、名前」
「何?」

廉造は、そっと私に近付き何かを囁いた。

「ごめん。聞こえなかった」
「…」

しょぼくれてる、廉造を見ながら私は一緒に行けたらいいな、と考えていた。



「一緒に、また来ような」



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