どういう、ことなの。
あと1日こっちにいて廉造と一緒に帰ろうとしてたのに。

「なあ、名前青い夜ってしっとる?」

青い夜、は少しだけ知っている。もちろん親が被害を受けた、とだけ。誰も何かのせいにはしていない。ただ火傷しちゃった、放火魔が――…。そんな都合のいい話を私は信じていたかった。

「名前、危ないからもう帰ろうや」

いつも女の子をナンパしていた表情ではないみたいだ。

「廉造は?」

問い掛けても返事はなかった。

「お熱いなぁー」

「…兄ちゃん!?」

現れたのは柔造兄ちゃんで、にやにやと笑いを浮かべてる。

「廉造、離れんか」

有無を言わせない口調で、廉造は私から離れた。廉造とさっきまで…思い出すと顔が暑い。

「名前、客間で廉造に守ってもらい。丈夫やし」

意味がわからなかったが私はこくり、と肯定した。

客間に廉造と戻り、散らかっているのに気付いた私はとりあえず荷物の片付けをしていようとした。

「…名前黙っててすまんな」

「どうしたの?」

廉造は答えてくれない。

「大丈夫だから、言わなくても」

また謝り、彼は頭を垂れた。もう、謝らないでとは言えなかった。シャラン、と彼が持っていたものが揺れる。確か、八百造さんも柔造兄ちゃん、金ちゃんも持ってた、ような…。

「廉造、なんだっけそれ」

「――やな…」

廉造の声が聞こえなかった。なんで、だろう…?頭が揺れる、声を荒上げてる廉造の姿を見た。
スローモーション、に見える。

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