その手紙は今でも私の宝物である。

【誕生日会、きて。
名前ちゃんいないとやだ】

誕生日はとっくに過ぎてるというのは私は知っていた。既に終えてるのも知っていた。廉造は7月8日なのに。
少し読みにくい、字。一生懸命に書いた字の後。下のほうを見ると、
【名前来てやってや。
廉造うるさいねん…】
少し右に上がっている柔造兄ちゃんの字だった。
それから私は両親に連れられて本家へと向かった。

「廉造、くん?」
「名前ちゃん来てくれたんやな!おめでとお!」

意味がわからなくて首を傾げたら、兄ちゃん達が
「今日は名前の誕生日、やろ?」と解答してくれた。
親や兄ちゃん達は、わいわいと騒いでいて、私と廉造は縁側に座って外を見ていた。

「名前ちゃん、俺な、」

廉造は真剣な表情で私のほうを見て、近付いた。


………


「名前!はよこっち来て手伝ってや!」
「はいはい、わかった」

廉造は覚えているんだろうか、私の最初を奪っていったことを、今でも気になっていることも。でも、そこから先は絶対に行けない。それくらいは知ってる。だから私は、友人でいたいんだ。

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テーマ「人外ファンタジー」
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