バタバタと騒々しい物音で目が覚めた。
「どうしよ…起こさんと…でも…さすがに見ては…」 「いや、割と大丈夫かもしれへんよ」 「ならお前がいけ」 「嫌や」
うるさいなあ…。
「名前ー、開けるでー」
誰かが私に問いかけた。 カラリ、と襖が開く、私は襖のほうを見て、口を開けた。
「起きてたんかー。なら、言ってくれや!」
廉造はいるんだろうなぁ、とはわかっていたけど柔造兄ちゃんと金ちゃんまでいるとは…。 志摩家恐ろしい。
「なんや浴衣開けてへんなあ…」 「残念だな廉造!お前に見せるもんなんてない!」
廉造の一言でぴきり、とした私は声を張り上げて反論した。
「なくなる訳やないんだし!」 「なくなるわ!色んな意味で!」
柔造兄ちゃんが切れるまで口争いは続き、その頃には私達の口内がからからに渇いていた。
「とりあえずお前ら、…喧嘩やめいや…。結構あっとるくせに…」
「会ってない」「せやな…」
え、会ってないよね…。私と廉造話したことないよね、学校で…。そんな内心を読まれたのか、廉造は変なことを言ってきた。
「いやな、ほら、名前のクラス可愛い子沢山いるって評判でな。まあ名前の名も噂では流れてたんや。だから俺はお前のことしっとったわけ」 「気持ち悪い。私、ピンク頭の奴がよく教室きてて、いつもいつも殴り飛ばそうと思ってたんだ。でもピンク頭お前しかいないだろ?今殴ったっておかしくないよね?」
にっこり、笑顔を見せたまま拳を背中に当てる。虫さえあれば完璧なのにな。
「お前ら!少しは反省しい!」
柔造兄ちゃんにまた怒られ、私の朝ご飯は下げられ、不幸続きだったけれど、昔みたいに廉造と話すことが出来て少し安心した。
|