「ピンク!ピンクて!!」
自分も金色に染めているのに…と思いつつ、笑われている廉造を見る。本当にピンクだ…。
「いやぁ久々やなあ、話すのは…――」
そういって廉造は私に語ってくる。なんだ、もう。お前かよ。 ピシャン、と襖が開けられる音がした。襖のほうへ顔を向けると苛々しているような八百造さん(廉造たちのお父さん)がつかつかと私の近くに近付いてくる。怒られる、と思って(小さい頃坊たちとよく一緒に怒られていたからつい)ぎゅっ、と目をつむる。
バシィッ、と高い音がして叩かれた、と思った。
「いた、くない…?」 「痛い、痛いでおとん!!」
ぎゃああ、と叫ぶ廉造。それを厳しい目で見ている廉造のお父さん。
「お前、頭ピンクにさせる為に東京行かせた訳やないんやで…ちゃあんと勉強していたんやろなぁ…。っと、名前ちゃん」
急に名前を呼ばれ背筋を伸ばす。何がおこるの、いや何言われるんだろう。とりあえず軽く返事をし、廉造のお父さんを見る。
「廉造、頑張ってるかい?」
そう聞かれ、廉造のほうを見る。廉造は、頑張ってるって言ってくれ、と懇願しているように私を見詰めかえす。
「…女の子をナンパしていたとこしか知りません」
とりあえず、真実を話しておこう。嘘ついたら、私にまでとばっちりがくる。廉造は、とんでもなく嫌な顔を私にし、お父さんに引っ張られていった。
「ざまあ、みーろ!」
小さな声で廉造が言った方向に暴言を吐く。どうせ聞こえないから大丈夫。大丈夫。 嘘をつくより正直に話したほうがすっきりするなあ、と思って、客間という名の自室に戻ろうと立とうとした。嫌な音がした。じんじんとする。まさか。
「足、つった……最悪」
最近正座なんてしてなかったからか…。でもさすがに八百造さんのときに胡座をかくほど、私は偉くないし…。仕方ないか、な。 ずるずると足を引きずって私は、部屋へと戻る。部屋には既に布団が敷いてあって、寝れるようだ。
「うー、ねむ」
睡魔がまたこんにちはだ、いやこんばんはだな。 もちろん勝てるはずがないので、目を閉じ枕へ突っ伏す。 私の意識は、いつの間にか夢の中へいっていた。
帰省しての一日目、は… 波瀾万丈でした。
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