すっかり出来上がっている(自分では否定してるけど)金ちゃんを玄関に置いて、私は居間へと通された。
ぷぅん、とお酒の匂いと、懐かしい匂いがした。

「よぅ来てくれたな」
「あ、お久しぶりです」

廉造達のお父さんと、話す。
やっぱりまだ廉造来てないみたい。

「名前!来たなら来たっていってよー」
「…来た!って、母さんは変わらないね…」

くすり、と母を見るとやっぱり出来上がっていて虎子さん辺りと勝負でもしたのかな、と伺えた。
それからも私は他の人達に挨拶し、それだけで一日の大半を終えた。とりあえず、疲れたので自室となる客間に寝転がる。

「親戚とか多いってつら…」

そんな呟きに答えるかのように、私の近くで影がうごめいた。

「いいと思う。仲良さそう」
「蝮ちゃん!来ても大丈夫なの?」

蝮ちゃん、は志摩家と仲が悪い宝生家の人間である。別段ひどい人ではないし、仲良くなればいいのに、と思う。従姉妹で女の子はいるけど居心地悪いから、よく廉造や口数が少ない蝮ちゃんと話していた。

「大丈夫やと思う」
「本当なの?金ちゃんとか見たら怒るよ?柔造兄ちゃんはまあわかんないけど」
「あいつは出来上がってたやろ」
「確かに」

ゆるい会話をしながら、客間から外を眺める。
外はもう、明るくなく上では星が瞬いていた。

「久しぶりだ。こんな綺麗な星空」
「向こうじゃ見えへんよな」
「そうなんだよね…」

蝮ちゃんは、正十字学園に通っていたこともあり、少し話しが合う。そういうところが好きだ。

………、遠くで金ちゃんの叫び声らしきのが聞こえる。なんだろう。

「蝮ちゃん、なんだと思う?」
「……さあ、わからへん」
「だよね。って、流石にやばいよ!金ちゃんに…!」

ああ、そうやね、と蝮ちゃんは言って、私から離れていった。その間私はずっと蝮ちゃんに手を振っていた。
蝮ちゃんの姿が見えなくなると、私は手を振るのをやめて金ちゃんが叫んでいた方向へと向うことにした。

金ちゃんがいたのは、玄関ではなく居間になっていた。玄関には一足分靴が増えていて、廉造が帰ってきたんだな、と少し把握していた。そうじゃなきゃあんな声出さないもん。金ちゃんは、よく怒るけれど本気で喧嘩するのは廉造と、だもん。
からり、と居間の扉を開けると目の前にはピンク色をした頭。
私は、ピンク色をした頭には、何かやろうと決めていた。廉造を使って探してやろう、って思っていた。
て、待て。
ピンク色、だろ。
私の目の前にはピンク色の頭をした男。

「久しゅうな、っておかしいか…なぁ名前」
「…、そっか、うんそっか」

通りで聞いたことあると思ったよ。

お前、かよ……。

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