別クラスの男女達と別れ、私は授業を受けていた。 あの子の目、すごい目だった。 遠くを見てるけど近いものを見落としそうで、でもその近いものがすごく大切なのに少しずつ欠けてしまっているから、それを埋めようとして躍起になっているようだった。あの目、折原って人に似ているかもしれない。かわいそうだけども。 あと、あの注意していた子は、多分裏がありそうな気がする。嫌な予感。関わらないほうがよかったような、そんな予感。
いつの間にか授業、いや学校が終わっていたようだった。 考え事って怖い。
「名前ちゃん!」
……いやいやいや、流石に学校内ですよ、一応あなた…。
「何、また無視なの?ひどいなぁ」 「なんであなた、ここにいるの」 「OBだから、一応」
情報が貰えた気がする。ご年配の先生に聞いてみよう。折原って人どうなんですか?って、どう答えるのかな。
「紀田くんとかと仲良くなったみたいだね」
紀田くん…あの茶色、いや金髪の子のことかな…
「どうしてそれを」
質問したのに答えてくれず、折原は私の手をとり玄関へ向かい、靴を履かせ学校から出た。 まるでこの話しは学校内だと話せないから、というように。
…遠くで声が聞こえる。 間延びしたなんだか怖い声。 嫌な予感。
「逃げるよ」
折原は私の手をもちながら走っていく。 声の主はだんだん近づいてくる。
「手、離して」 「だめ」
ぶんっ、と大きく振っても解けない。 多分この人がいるから私は危険な目にあっているんだ。 そう思って引っ張られながら空を見ると、コンビニのごみ箱が弧を描いて私のほうへと落ちてき、た。
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