そんな気がしてから半日。 私は屋上でずずっとパックジュースをすすっていた。 おいしい。 最近好きなのですこのシリーズ。 グレープフルーツ味の紅茶。 ずずっ。
「名前ちゃん!…あ、邪魔だった?」 「ううん。平気」
友人のみかちゃんが話しかけてくる。 この子はあの情報を教えてくれた人。 私が興味を持った、面白い、池袋のことを教えてくれた子。 でもいきなりなんなのだろうか。 今は彼氏といる時間では?
「名前ちゃん、折原さんに会ったんだって!?」 「…あった、けど」
神妙な顔をするみかちゃん。 なんだろう。
「名前ちゃん、変なことされなかった?」 「されてないけど…多分」
むむ、と唸るみかちゃん。 そして、私に明るく爆弾発言をしてきた。
「なら、安心だね。名前ちゃんのこと本気みたいだし」 「え?」
ふふっ、と顔を緩めながらみかちゃんは内緒!といって、階段を駆け下りていた。 何かと怪しいが、いつもおかしなみかちゃんなので私は気にしないことにしようと思う。
屋上では、3人の男女がわいわいしている。あぁ、いいなぁ。 私もあんな感じに話してみたい。 ぼーっと考えていたら話しかけられた。
「もしもしそこのお嬢さん?見かけない顔だけど何処からきたんだい?暇ならこの私とどこかお茶にでも…」
折原さんを思い出す、この長い台詞。 そして、瞳の奥には憂いを秘めていた。
「…似てる」 「えっ?何にですか?」 「なんでもないです」
不審に思われただろうか。 まぁいい。特に気にはしないだろう。
「で、お嬢さ… ったぁ帝おー何すんだよ!」 「困ってるだろ!あぁ本当すみません、正臣が…」
コツン、と軽く頭を叩かれている彼。 別の子が彼に叱責し始める。 ふふっ、と笑みをこぼしていたようだ。
「チャイムなりますよ、お三方?」
男子2人にそっと近づく女の子。 楽しい、屋上。 私は、3人と一緒に屋上の階段を下りた。
そのときを誰が見ていたのか、知らないで。
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