ミカリン、いや名前と電話をして、ほとんどもろばれしてしまった…。最悪だ。 何故、わかったんだろうか。いやそれ以前にあの文学少女はミカリンなどに言っている(報告とも言うが)らしい。でも、今回は詳しく言っていない。多分。ミカリンなら隠しているかもしれないけれど、ばれるだろ。ミカリンわかりやすいし。
「おい、もう時間じゃないか?」 「兄ちゃん…、」
自室の扉が開けられ、兄がいた。時間、と聞かれ携帯を取り出し時間を見る。確かに、いつもに出る時間だ。あの黒子毛の女の子に会える電車の時間だ。…って、待て。今俺は、制服に着替えていない=もしかしたら遅刻フラグ。……笑えない。
「電車大丈夫か?」 「やばい。ちょっと走って駅まで行くのも間に合わないからチャリ貸して」 「……ちゃんと返せよ」
おう、と返事をしながら制服に着替える。着替えて洗面台に向かい顔を洗い、朝ごはんを軽く引ったくりながらさっくり食べて(ちなみにラーメンだった。濃い。胃もたれしなければいいけど)、兄ちゃんの自転車に飛び乗った。
「じゃあ、行ってくる」 「ちゃんと自転車返せよ」 「わかってるよ」
兄ちゃんに了承を得て、近道を通って駅へ向かう。遅刻しなきゃいいけど。 駅近くの自転車置場に自転車を止め、ス●カで改札を通る。ギリギリセーフ。あと3分で電車がくるところだった。
「お、眼鏡くんじゃあないか!」
この声は、昨日聞いた。
「よお、ミカリン。元気そうだな」 「そういう君は汗が凄いな。そうだ、これ貸す。あとで洗濯して返せよー」
そういわれ、彼女は鞄の中からタオル出し、それを俺の首にかけた。
「おー、ありがとな、助かった」 「ちゃんと洗濯しろよ?」
にひひ、と笑い声を上げながら彼女は俺と一緒に電車に乗った。 今日は最悪な日だと思ったけど、いい日じゃないか。借りたタオルからは名前のにおいがして、ちょっとどきっとした。
120408
短くてすみません
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