「失礼します」
割合低めの声で入ってみるが(姿が見えなきゃ問題ないと思い)、意味はなかった。 保健室はがらんとしていて、誰もいない、と思う多分。
「カーテンは閉まってる、と…」
そういえばハルちゃんは会長さんがぶたれて保健室に行ったと言っていた。それも相手は文化祭時に会長さんと修羅場になったりんごちゃんさん?らしい。
「カーテンの中、かな」
とりあえず、嘘の用事であった湿布をとる。多分冷却湿布は冷蔵庫の中じゃないかな。私の学校そうだし。 勝手に冷蔵庫を開けていいものかと悩むが、冷蔵庫近くの机の上に湿布の袋が無造作に投げてあった。
「ラッキーじゃないですか、貰います!」
ラスト1枚となっていた湿布を貰い、自分のポケットへと突っ込んだ。よし、これで偽用事は完了した。問題は本当の用事だ。会長さんいますかね。 ゆっくりカーテンに近付いていき、1つ目のカーテンを開けると何故か帽子くんが上半身裸の状態で(ちなみにお腹のとこに湿布がはってあった)寝転んでいて、二つ目のカーテンを開けると、頬が赤くはれ、鼻血が出たのであろうか鼻にティッシュが詰め込んであった。
「…りんごちゃん、さんすごい人だな…」
帽子くんの鳩尾、そして会長さんに平手打ち。ただ者じゃない…。師匠と呼ぶべきか。
「感心してる場合じゃない、私は会長さんを殴りにきたんだ!」 「べぇ、どうやるんでずが?」
濁った声が聞こえたほうを見ると会長さんで。その会長さんを見てとりあえず鳩尾辺り狙うかな、なんて考えていた私がいた。
「会長さん、お久しぶりですね」 「ぞうだね、…で、なんのようだい?」 「会長さんを殴りにきたんです。よくも前は言いたいことばっかいってくれましたね。ふざけないでください。私は私なんです。だからそれのお返しです。はい、寝転がれ」 「え」
腹筋は丈夫なのか起き上がっていた会長さんを押し倒し、鳩尾の場所を探す。
「ちょ、何やってるんですか!」
いつの間にか、鼻にあったティッシュはとっていたようでくぐもった声ではなくなっていた。
120226 まだ続きます。 多分次で終わりです
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