「家じゃなくていいか?」 「問題ないけど。むしろ相談とかないし」 「はいはい」
ヒデノリくんは私の扱いが上手い。それを今さっき知った。
「じゃあここな」 「ここって、河原?」 「そう。俺と文学少女が競り合って、んでミカリンと会った河原かな。ついでにヨシタケとタダクニは既に呼んである」 「仕事はやいね」
あっさり褒めるとヒデノリくんは自身の髪をくしゃくしゃと掻き交ぜた。
「で、名前何があった?」 「んなのないよ!サオリンが、大々的に言っただけ!」 「本当か?」
じっ、と眼鏡の奥の瞳に見詰められる。負けそう。だけど負けたら…。
「大丈夫、俺しか聞いてないし。そして風が騒がしく泣いてるから声もよく聞き取れない。ほら、ここならいいだろう」 「ばっかじゃないの…!」
そこで風の話を持ってくるなんて、私を笑わせる気なの。全く、負けるよ。
「笑っとけ。笑ったもん勝ちだよ世の中はさ。まあ俺も数十年しか生きてないけど、笑ったほうがいいって。素直に笑っとけ」 「ヒデノリくんはよくわかるね、っ、あはは…」
かっこよく言っているのに風のせいで私達の髪は散々な感じで荒れ狂っている。本当。馬鹿だよ。
「笑っとけ。まあ相談事なら乗るさ友達だしな」 「おうよ、死にそうになったらまた笑わせてくれ!」 「えっ、死にそうだったの」 「言葉の文だ」
真顔で死にそうとかいうな。ピチピチに生きてるわ! なんて、笑う。ああ楽しいや。
「ヒデノリくん。私さ、ヒデノリくんに言うことあるんだよね」 「辛い感じか?」 「まーそんなもん?辛気臭いかもしんないかね」 「いいさ、今日はカウンセラーの気分だからな」 「どんな気分だ、馬鹿」
やっぱり、面白い。友人が期待してたのもわかるや。あとでちゃんとお礼言わなきゃ。
「あのさ、なんで私が偽名使ってるかってわかる」 「人に悪用されない為、じゃなかったっけか」 「まあそうなんだけどさ。あと先謝っとく。ごめん。理由は聞かないで」
うん、ごめん。今この場所で言う訳にはいかない。私が大層ないじめっ子だということを今言うわけには。
「あー、まあいいや。それで何?」 「いや、まあ私の身の上話っぽくなるよ、大丈夫?まあくだらないと思うけどさ」
私はにこりと笑みを見せる。 早く言わないとタダクニくんとかが来てしまうし。
「大丈夫だって、ほら勿体振らずに言えよ」
その言葉、しかと受け止めたぞヒデノリくんよ。
120218 ヒデノリは中身イケメンだと思う。 馬鹿やってるけどあの中では考え方大人だなあって(私の中で)
そして夢主キャラ崩壊のお知らせ
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