待ってろ、と言われたが数分たっている。ちくしょう早くしろよ。携帯をカチリ、と開き先程来ていたメールをもう一度見る。
件名:心配 内容:倒れたけど大丈夫? まあ名前なら 生きてるし大丈夫か! 例のお化け屋敷… 怖かったよね? 入ってないけどさ…!
いやいや入ってないなら怖かったよね、という同意メールじゃないだろ…。なんて思いながらも下駄箱に背中を付け返信する。返信完了っと。 しかし眼鏡くんとか遅いな。先行ってていいか。私は下駄箱から背中を離し、ぺたんとしたローファーを履く。ローファーって女子高校生っぽいよね!と母親が言っていたが、どうなんだか。
「あ、おい待てよ名字」 「だからミカリンと呼べと言っただろう、ってあれ帽子くんじゃなくて無料くんじゃないか。なんで知ってるんだ」 「あー、ちょっと聞いたからさ」 「帽子くんが私の名前言ってたのか?…しにさらせや」 「落ち着け!違うから!」 「そうか、なら無料くんは何故私の名前を」
無料くんは口をもごもごとしていてまだ口を開きそうにない。なんなんだか
「いや、お化け屋敷のときに聞こえて…」 「あー、そうか。仕方ない。でもみんなの前ではミカリンと呼べな?」
にひ、と私は笑顔を浮かべた。無料くんは、いやさすがにダメか。タダクニくんは、おう、と返事をし、靴を取り出した。
「帰ろうか、ミカリン」 「そだな、タダクニくんよ。ちなみに二人っきりなら名字で呼んでもいいぞ。ちなみにフラグは既にへし折ってある」 「え」
ゆっくりとタダクニくんと駅まで歩こうとすると、どこからか走ってくるような音がして後ろを振り向くと、ぎゃあぎゃあと言い争いをしている声が聞こえた。まあ女の子より声が低いから本気で喧嘩してるようにしか聞こえないけれど…。
「おいこらタダクニ!何一緒に…ってあ、ミカリンか」 「よう、眼鏡くんに金髪くん…あと帽子くんと誰だ?」 「ああ、こいつか?」 「そいつだ。見たことあるような気はするがな!」 「ヤンキーのモトハルってやつ。ちなみにそこまで悪くない」 「おいこらタダクニ!」 「本当のことだろ」
ヤンキーのモトハルくん、ふむ。
「ヤンキーくんかハルちゃん、どっちがいいか?」 「え」 「なんだ、眼鏡くんよそんなぽかんとした顔をして。あ、そういえば電車だよな、途中まで帰ろうか眼鏡くん、いやヒデノリくんよ」 「ああ、」
私は少し暗い道を通ったが、問題ないだろう。こんな騒がしい奴らがいたら、誰も近寄っては来ないのだから。
120213 文化祭編終了(多分)
|