うん、楽しかった(怖かった)、なんでこんな大掛かりなセットにしたの。生徒会はあほなの。ばかなの。ちくしょう。泣きたいじゃねぇか。

「あれ、ミカリン体育館行かねぇの?」
「……眼鏡くんの声だ。ねえ、今振り向いても大丈夫?」

帽子くんが見ないほうがいいと言っていたくらいだ。びびり、いや違う、普通な女子高校生が見たらちょっと気絶しちゃう感じだろう。多分。

「あー…、大丈夫だ」

今の間はなに、ねぇ何。

「眼鏡くん見たら気絶しそーだから、なんで体育館なのかって聞いてみる」
「…某キャラの台詞に少し似てるぞ」
「きのせい!」

まあ似せた訳じゃない。……似ちゃったんだよ!!…ごめん、似せた。

「これから体育館で文化部発表があんだよ、だから見に行かないのかなって」
「行く、超行く、絶対行く」

お化け屋敷なんかに比べたら文化部発表なんて嬉しいものだ。やったね。内心ガッツポーズをしながら眼鏡くんのほうを振り向くと、してやったり、みたいなにやりとした顔を浮かべていて、何かあるのか?と思い、顔から下へ視線を下げたら変なもの………何を見たかは何もいうまい。
私は気付いたら、多分保健室にいた。ベッドで寝ていたし、少し薬くさいし、なんだか真新しいガーゼの匂いもする。

「会長、阿呆ですよね」
「全くだ」

溜息を付く二人の声。私が知っている声だった。

「後片付けもあるのに、俺らが会長起きるの待ってろって、先生は意味がわかっていないよな、唐沢」
「全くです。女子高校生がいるだけで浮かれてる奴らにしっかり後片付けが出来るとは思えません」

ああもう、文化祭終わったのか。……部外者は帰らなきゃまずいんじゃ…、あ、でも今は外に出れない。どうしよう。

「唐沢、隣のベッドスペースにカーテン掛かってたよな?」
「そうですね、人がいるか確認してきます」

あ、終わった、もうどうにでもなれ。しゃっ、と小刻みいい音がなり、帽子くんが私を見た。そしてまたカーテンを閉めた。え、何、今の何。

「どうした?」
「……………いえ、何もないです」

帽子くん、意味深発言控えて。本当控えて。

「嘘つけ、俺がカーテンを開けて中を確認してくる」
「副会長、それはやめて下さい。彼女泣きますから」

あ、ばれた。どうにでもなれ。もう、いいよ。(二回目)

「…彼女って、女が寝てるのか?東高か?」
「違います。おそらく西高でしょう」

よく西高だってわかったな…あ、制服か。私は一応文化祭=学生ねイメージがあるので制服を着ている。セーラーって可愛いから問題ない。

「で、お前知り合いか?」
「まあ…」
「家まで送り届けてやれ」
「それは…」

ちょっと待って副会長紳士。あの外見怖い人すっごく紳士なんですけど。人って見た目で判断しちゃダメだよね。うん。

「名字起きてるだろ」
「残念ながら起きてます…」

声を発すると本当に女かと言わんばかりの溜息をつかれた。すみませんね、女で。

「唐沢いなくなると大変だからな…、あ、会長見てて貰えないか?どうせ起きないし」

カーテンごしに会話をする。うん、怖くない。

「大丈夫ですけど、なんで会長さん寝てるんですか?」
「………話すと長くなるから後ほどな笹原」
「りょーかいっす」

カーテンを開け、スリッパを履き、会長さんのほうへ向かうと帽子くんと副会長さんがいた。副会長さんは私に会釈をして保健室から去っていった。まあ忙しいんだろうね。苛々してたし。

「名字、会長任せていいか?」
「見てればいいなら問題ないけど、名字で呼ぶな、ミカリンと呼べ」
「俺、そんな感じの呼びたくないんだが」
「羞恥プレイ?」
「そんなことをいうな」

耳が赤く染まる帽子くん。からかうの楽しい。

「まあ任せときなさいな、会長さん見とくから」
「頼んだ」

そういって、帽子くんも保健室からでていった。
残っているのは会長さんと私のみ。いやはや。何しろっていうんだ!





120212
当初の予定とずれた
夢主さんは思い通りにいきませんね…



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