「何、言ってるの…」
隣にいる看護師さんは口を閉ざしたまま。後ろにいた、と思ったお母さんはいつの間にかいなくなっていた。 お医者さんは、真顔で言葉を続ける。
「あと、もって―――…」
ありえない、そんなことない。私は元気だ。元気なんだ。 そんなことなんて、あるはずがない。 嘘だ、って言って、ねぇ!!
問い詰めても返事が返ってくるはずなく、私は信じられなかった。いや信じていなかった。
週末の日曜日。 ミツオくんがくる日だ。 いつもは楽しみな日曜日。でもなんだか気分が晴れない。
「よ、名前!」 「ミツオ、くん」
向日葵みたいな満面の笑みを浮かべているミツオくん。そうだよ、私は彼とお話をするんだ。余命とか嘘なんだよ。 白々しい嘘つかないでよ。
「…名前?」 「どうしたの、ミツオくん」 「いや、なんでもない」 「そっか」
ありえないんだから。こんなこと。
信じない。
ミツオくんが笑ってる。私はこの笑顔を見ていたい。
彼女は笑っていた。 いやいつも以上に笑っていた。空元気、というのか。 それとも、信じたくないものを否定しているのか。 俺には、よくわからない。 でも彼女が笑うなら、俺も笑って彼女を明るくさせたい。 彼女がよく俺に言う、向日葵みたいな笑顔、みたいに。 向日葵みたいに照らすことなんか出来るわけないけどさ。
121122
否認。
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