もじ | ナノ
※ちなみに続編

あいつから傷を残され、病院にいたときだった。あいつのことを師匠といってついていた彼女が俺のところへお見舞いに来て、そのときの俺は餓鬼だったから顔を見せたくなかったから布団の中に顔を埋めた。師匠といっていた彼女(弟子)が何をしでかすかわからないからだと思うのだが。
数週間経ち、退院したら学校は以前より落ち着いていて、あいつはだんだん暴力性が薄れていった、と聞いた。そしてそれと同時にあいつのいつも後ろにいた彼女がゆっくりと誰も気付かないようにそっといなくなっていた。あいつは薄れていったとしても曲がりなく壮大なるいじめっ子だったからか、彼女がいなくなっていることを気付いていなかった。まあ、気付いていたとしても、追い掛けることはしなかった。離れていっていいよ、という暗黙の了解だったのか、と今頃になって思う。
そんな彼女と疎遠になり、いじめっ子のほうは隣人という壮大なるいじめ続き、が浴びせられている俺だが、今日は少し違った。
いじめっ子の家にいたのだ。彼女が。彼女があいつ(名前すら呼びたくない)から離れていたことは知っている。なら何故わざわざあいつの元へ行っているのだろうか。また、変なことをやろうとしているのではないだろうか。そんなことを考えつつ、俺は自室のカーテンを閉めた。

 ――――――

「私は違う」
「何が違うの」

意味のわからない問答を続ける。ああもう意気地無し。

「羽原さん、私あなたのこと尊敬してたんです」
「え」
「でも、人を傷付けて平気で笑っている羽原さんを見て、恐ろしくなりました」

あのときの羽原さんは羽原さんだけど今の羽原さんじゃない。私が師匠と慕っていた、あのときの羽原さんではない。
今と前は違う。そう羽原さんは私に教えてくれた。

「羽原さん。でも、私大切なことに気づかせてもくれた人もいるんです」
「そう、なの?」
「はい。師匠。お世話になりました。ずっといえなかった。いいたくても、いえなかったんです」
「いいのに、そんな」

苦笑を浮かべている羽原さん。そんな彼女を見られるのは、今日これで最後にしよう。

「いいたかっただけなんです。ありがとうございました」

ペコリ、と彼女に向かって礼をして、家から出た。
空は澄み渡っていて、私の感情をそのまま表しているようだった。



120720

遅くてすみません。
続きません!


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -