もじ | ナノ
※前の「なんて言葉は、」の続き。
 修一くん多分中学設定
(ラバーシューターの子です、一応補則として)
 苦手な方はバックお願いします。














送るから、そう言われてお願いしますと言えるだろうか。
答えはNOだ。言える訳がない。気になっている男の子になんて言える訳もない。そんな根性あったら私は普通に彼に話し掛けたり、告白することが出来るというのに。

「しかし名前保健委員やってたんだな…、昔と一緒だな」
「あ、うん」

私のほうをみて笑う修一くんを見て、なんだか苦しくなった。なんでそんな苦しそうなの?なんて聞けないし、なんでさっきまで「さん」を付けてたのに呼び捨てになったんだろうとも聞けない。むしろ名前を呼ばれるたびにドキリとしてしまう私はなんて浅ましいんだろうと思ってしまう。

「また手当してくれるのか…、そっか。変わらないな」
「そんなに怪我するの?」
「まあ部活とか、で。というか、保健委員って何するんだ?」

言いたくないのか曖昧にごまかして、話題を変えられた。問題はないけれど少し、寂しい。私は笑って相槌をうつことくらいしか出来ない。簡単な世間話を淡々と続けていたら交差点に差し掛かる。この辺りで、ばいばいしなきゃ、ね。

「あ、私もう少しで着くからこの辺りでいいよ」
「いや最後まで送るよ」
「ううん。そしたら帰るの遅くなるでしょ?」

修一くんは、少し眉を下げ「そっか」と呟いた。
「そうだよ」と私も答えを返す。
交差点の街灯が二人を照らしていて、ゆっくりと伸びる影が私たちのことを見て笑っているような気がした。そんなことはないのだけど、勇気ないなお前と指差しされて笑われている気分である。

「ねえ、修一くん」
「何?」
「一つ、聞いてもいい?」
「答えられる質問ならだけど」

なら、聞かなきゃ。好きな人いるの?って、聞かなきゃ。

「好き、な人いるの?」
「…あー、そういうのか」

修一くんは下げていた眉を上げ、かたりと肩を揺らした。
勇気を出して聞いたのに反応があっさりしていて、びっくりした。

「いるよ?名前はどうなの?」
「へ…?」

そのまま質問が変えってくるとは思わなくて、変な声を出してしまった。くすくすと笑う修一くんの笑顔が街灯に照らされている。

「じゃあ、また明日ね」

何分経ったのかわからないが、修一くんがくるりと後ろを向き、私の家と逆方向に歩き出す。

「じゃ、あ…ね」

このままでいいの?ダメじゃないの?自問自答重ねる。

「し、修一くん、」
「なにー?」
「好きな人はあなたですー」
「っはは、知ってるよ!じゃあね」
「じゃあ、ね!」

少し離れたとこで歩いている修一くんに声を張り上げて、告白をしてみた。でも、気付いて、たの、かな…?
よく、わからないや。


ごまかされた。

(おはよう、名前)
(おはよ、修一くん)
(呼び捨てでいいよ。俺らの仲だよ)
(へ?)

そのときの頬を赤く染め遠くを見ていた修一くんがかわかっこよくて、この顔見ているの自分だけなんだと思うと嬉しくなった。




120710





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