もじ | ナノ
※台詞ならびに色々と捏造
中学の設定(多分)


羽原さん、いやアークデーモンと言ったほうがいいのだろうか、彼女が倒されてから修一くんもヒーローというものから手を引いた、と聞いた。ちなみに今アークデーモンは柳さんが見張ってくれているらしい。柳さん申し訳ない。でも、修一くんはヒーローから手を引いたと言っていてもあそこまで人を助けるということを忘れることはないんだろうなあと思う。優しい人だったし、私の初恋の人だ。修一くんは前々から人気があったから、私なんかが手が届くような人ではなかったけれど。
小学が一緒だったからか学区内的に中学も同じになった。修一くんは以前と変わらずかっこいいけれど、どことなく人と壁を作っているような気がする。
そして私は変わらず保健委員なんていうものをやっている。つい、癖なんだろう。修一くんは無茶ばっかりするから怪我が多かったし、そうすれば合法的に修一くんに触れたり話したりすることが出来た。なんて浅ましい考え方だ、なんて思うけれどその時間が、行為が、私の中の大切な思い出として残っている。
でもなんで修一くんが壁なんかを作っているんだろう。修一くんは所謂私たちの小学の中ではヒーローだったし、すごく明るくていい人だった。まあそこだけに惚れたという子も多いと聞いたけれど。

「なんでだろうなあ…」

いつも放課後に訪れる保健室で呟いた。ちなみに当番だが、先生はいない。いいのか、とは思うのだが、多分いいのだろう。男女ペアな保健委員だが、今日はぼっちで当番です。男子の方は部活だし、仕方ない。

「なんでだろうな?」

はあ、と溜息をつきながら保健室のカーテンを開けた。どうせ誰も来ないし、突っ伏して寝てやろうと考えたのだ。

「…ん?」

私が開けたカーテンのベッドには、おそらく人が入っているのだろう、布団がもっこりと盛り上がっている。

「先生…、普通言っておくでしょ」

溜息をまたついて、時間を確認。放課後だし、帰らせたほうがいいんじゃないかな。

「すみませんー、放課後ですよ、帰れますかー?」

当たり障りない言葉をかける。しかし反応なし。どうしてやろうか。いやでもゆすったりするのもあれだし、放っておくしかないかなあ。最後になったら起こそう。
私はそう決めて、またカーテンを閉めたのだった。

結局今日も仕事はなかった。いや細かい仕事はあったけれど。掃除とか湿布渡したりとか。それくらいの簡単な仕事だ。…あ、起こさないとか。
時刻は18時。帰らないとまずい時間だ。

「起きてくださいー」

ゆさゆさと揺すると、うー、と唸り声が聞こえた。

「18時過ぎですよー」

変わらず揺すると、ごろりと寝返りをうたれた。…そこまで起きたくないのかこの人は。

「…しょうがない。めくるか」

女の子だったら申し訳ないが、このまま寝られていると帰れるものも帰れない。私は気合いを入れて、かかっていた布団を取った。

「…し、修一くん…?」

取った布団の中には、前まで考えていた修一くんがいた。先程まで暖かかったからか、ぶるりと体が震えた。いや、そんなことはいい。なんで修一くんが今までここで寝てるんだ…。

「ん、あ、名前さん?」

自身が震えたことで起きたのかぼやっとした顔で私を見て名前を呼んだ。覚えていたんだ、なんてちょっと嬉しくなった。

「おはよう?かな。もう18時だけど帰らなくて大丈夫?というかなんで寝てたの?」
「え、もう18時!?」
「うん。今は18時15分くらいかな」

本気で驚いたのかきょとんとした顔を浮かべ、ばっとベッドから飛び起きた。

「名前さん、ごめんな。俺のせいで帰れなかっただろ?」

少しはだけていた制服を整えながら修一くんは問いかけた。そういえば荷物ないけどいいのかな。

「いや仕事はいつもこのくらいの時間までだから気にしないで。あと荷物ないけどクラスにあるの…?」
「あー、うん」

ちょっぴり歯切れが悪かった。言いたくないことを聞いてしまったのだろうか。

「私鍵閉めして職員室に届けに行くから、まだゆっくりしててもいいよ」
「それは悪い。あと結構暗いし送る。女の子を一人で歩かせるのは危ないし」
「ううん、遠慮しとくよ。修一くんより家遠いから遠回りさせちゃうし」

制服をきっちり着込んだ修一くんは、私との会話をぶち切って保健室の扉からでていった。荷物を取りに行くんだろう。

「じゃあ私も帰ろうかな」

誰もいなくなった保健室に呟いて、ベッドの布団を整えた。荷物を持って、電気を消して、持っていた保健室の鍵を閉じた扉に刺した。かちゃり、と音がなりちゃんと閉まったのか確認して職員室に保健室の鍵を届けに行った。

「失礼しました」

職員室から出て、玄関へ向かう。

「遅いんだな、お疲れ様」
「その声、修一くん?」
「正解」

少し笑い声が聞こえる。玄関近くの電気は消されていて、中庭辺りにある街灯がぼんやりと玄関を照らしていた。

「送るから、名前がなんと言おうとも」
「え、いいって言ったのに」
「ほら、帰るぞ?」

手が伸ばされ、前と変わらない笑顔が街灯にぼんやりと照らされていた。


なんて言葉は、




120408

多分続く気がします。



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