俺の部屋を開けると、隣に住む奴がいた。とりあえず有り得ねぇと思い、扉を閉め、頬を抓る。うん、痛い。
「ヨシタケー、早く部屋に入ればー」
声が聞こえた。幻聴だと信じたい。そして俺はまた頬を抓る。うん、痛い。一応片方ずつ頬を抓ったからか両頬が今はおそらく真っ赤になっているだろう。絶対にからかわれる気がする、とは思いつつも俺は自室の扉を開けた。
「なっ、おま、その格好はねーだろ!!」
「おー、ヨシタケ。ゲームしよーぜ。モン○ンやろー!」
俺の寝床でほぼ部屋着状態の奴がいた。いや、まあゲームはやるけどさ。
「色気が全くない…」
「姉ええ!弟が…っ」
これ以上言われたら俺死ぬ!確実に姉ちゃんに殺される!ブロック投げ付けられるから!全力で名前の口を自分の手の平で押さえ込む。うあうあとうるさく数分騒いでいたが、急に静かになったので、手を離す。
「どーした、気分悪いか?」
うるさい、がもっとーのような奴が静かなのは気味が悪い。それもなんだか熱あるみたいだし。ゲームはお預けじゃねーかな。
「悪くない。ヨシタケ、ゲームしよ」
「おー、いいぜ!負けても何も言うなよ」
「ふふふ、そんな自信があるなら。そっちが負けたら罰ゲームね」
「いいよ、なんだってやってやるよ!」
「その言葉ちゃんと覚えておきなよ」
罰ゲーム、付きか。とりあえず、クエストを…これにして。よし、完了!
「じゃ、いくぞ」
敵は案外名前の近くにいたようだったのでさっくりと彼女が倒してしまった。…って俺罰ゲームか。どんなんされんだ。
「よし、ヨシタケ罰ゲーム決定!」
「何させる気だよ」
「ゆーえんち連れてって!」
はい、と遊園地のチケットを手渡される。裏を見ると新聞社のマーク。
「他に行く奴いなかったのか?というか普通に誘えよ」
「なんでもいいだろ!じゃあ今度の日曜!連れてってね」
「おー」
ゲームしようぜ!
日曜に遊園地に行ったのだが、まさかの私服が女の子らしくて、こいつも女だったのかとしみじみ感じたのは、あとの話。
120326